ウシ乳腺組織由来の牛乳中副甲状腺ホルモン関連タンパク質(Parathyroid hormone-related protein; PTHrP)とPTHrP由来ペプチドの作用(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)

概要

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乳腺組織由来のPTHrPは乳汁中へのCa輸送に関与する可能性があるため,乳腺組織におけるPTHrPのCa輸送に対する作用を,初代培養ウシ乳腺上皮細胞をコラーゲンコートしたメンブレン上で培養し,^<45>Caの輸送についてin vitroの系で検討した。非泌乳期のウシ乳腺組織をコラゲナーゼで消化し,プロラクチン,インスリン,ハイドロコルチゾンの存在下で培養して乳腺上皮細胞を得た。得られた乳腺上皮細胞をチャンバー法にて培養し,^<45>Caを内側あるいは外側のチャンバーに加え,PTHrPを添加した際の外側あるいは内側チャンバー溶液中の^<45>Ca放射活性を測定した。その結果,内側外側にかかわらず,PTHrPを添加した側の標識Caの放射活性は減少するのに対して,反対側の放射活性はそれに対応して必ずしも上昇するわけではなく,細胞内の標識Ca放射活性が上昇することが分かった。この結果は,PTHrPが乳腺上皮細胞のゴルジ装置へのCa輸送に作用することにより,血液中から乳汁中へのカルシウム輸送に関与していることを示唆するものであった。