臨地実習における患者-学生間のコミュニケーションの分析 : テクストとしてのプロセスレコードの内容分析を通して
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概要
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本研究は、臨地実習における学生のプロセスレコードを分析して、患者-学生間のコミュニケーションの実態と特徴を捉え、今後の実習指導に役立てることを目的としている。研究方法:対象:3年次の学生20名及び臨床指導看護師3名。方法:実習開始第2日目〜3日目のプロセスレコードをドキュメントデータとして用いた。分析方法は、社会調査法論の視点から、質的データの解釈方法を用いた。具体的な手続きは次の通りである。1)学生ならびに臨床指導看護師のドキュメントデータのテクストをコード化し、2)学生のコードと臨床指導看護師のそれとを比較し、コードをカテゴリー化する。3)各学生のプロセスレコードをカテゴリーの生起順序とその出現頻度によってコミュニケーションパターンに分類する。結果ならびに考察:1)学生のプロセスレコードは、Sカテゴリー(18コード、表1)とPカテゴリー(19コード、表2)に分類された。Sカテゴリーに含まれたコードは、精神看護のアセスメントカの不足による未熟で、経験の乏しさの見られるコメントやコミュニケーションからなり、Pカテゴリーに含まれたコードは、精神看護のアセスメントと臨床経験に基づく専門的な判断とコミュニケーションが含まれていた。2)各学生のプロセスレコードを、SとPの2つのカテゴリーの出現頻度とその生起順序から分類した結果、S+(P)、S+P,PLS,S→P,P+(S)の5つのコミュニケーションパターンに分類された。それぞれの典型的なコミュニケーションパターンは、図1〜5に示した通りである。3)学生の半数(50%)に未熟な経験の乏しいコミュニケーションパターン(S+(P))が認められ、一方、精神看護のアセスメントに基づいた適切なコミュニケーションパターン(P+(S))の認められたものは、わずかに15%であった。このことから、実習第2、3日という条件を考慮しても、実習における患者-学生間のコミュニケーションは十分なものではないという実態が把握できた。4)本研究の分析結果から、我々は、コミュニケーションスキルと精神看護アセスメントの教育方法について、さらに検討を進める必要があると考える。
- 沖縄県立看護大学の論文
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