質的研究の看護学領域への展開 : 社会調査方法論の視点から
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概要
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人間を対象とする学問においては、近年、質的研究が世界的に注目されているが、その概念や評価基準について統一的な考え方が確立されていない。そこで、社会調査方法論の発展との関連において、看護学における質的研究についてその概念や評価枠組み、代表的な方法の特徴と使用にあたっての留意点を文献的に検討した。その結果、看護学領域における質的研究は、(1)その概念を 1.研究対象の一つひとつを事例として重視する、2.事例をその存在するコンテクストから切り離さない、3.事例を事例自身の表現する(あるいはした) テクストによって記述する、4.テクストの意味を研究者が研究対象の内面に入り込んで解釈し、理解する、と暫定的に設定でき、(2)看護実践の特性-1.患者や住民のひとり一人を大切に扱い、2.その表現する訴えや要望を受け止め、3.それらの表現の背景にある文化的あるいは地域社会的コンテクストを理解し、4.ケアや指導を実践し、5.患者や住民の満足度に基づいてそれらの実践を評価する-と親和性が高く、(3)確実性:第三者がテクスト解釈を追体験でき、類似の事例を追試できる、信憑性:あるコンテクストにおけるテクスト解釈が信用できる、転用可能性:あるコンテクストにおいて得られたテクスト解釈が他のコンテクストに転用できる、現実との関連性:現場の問題の解決にその研究結果が関連する、から評価できることが明らかになった。
- 沖縄県立看護大学の論文
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