酸性降水の河川水への影響を調べるための簡易水質調査法の提案

概要

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学校教育の場では,総合的な学習の時間のテーマの一つとして「環境」が取り上げられ,酸性雨や河川水などの環境水の水質への関心が高まっている。本研究では,児童・生徒に身近な地域の環境について正しい認識を持たせることができるように児童・生徒自らが実施可能な環境水の簡易な調査法を考案した。それに先立ち,我々の研究室では,2000年7月から2002年6月までの2年間,日本海側の9箇所の地域と,滋賀県琵琶湖北部の安曇川と余呉川の流域で,降水及び河川水の水質調査を行い,冬季に中国大陸から日本海側地域まで酸性の汚染物質の越境汚染があること,その一部加山を越えた内陸部の琵琶湖北部地域まで飛来していること,それらが冬季の降水を酸性化し,河川水に影響を与えていることを明らかにした。また,河川水のpHは溶存している炭酸水素イオンの緩衝作用を受けていることを明らかにした。これらの調査結果の活用を念頭に本研究では,小・中学校の環境学習の時間に実施可能な水質調査法を提案した。提案する調査項目は,PH,電気伝導度,アルカリ度であり,pHにより水試料の酸性度を,電気伝導度により(電解質による)汚染の総量を,アルカリ度により河川水中の炭酸水素イオン濃度,すなわち,河川の酸に対抗する力のめやすを測ることとした。前者二つの測定には,簡易測定器が利用できる。一方,通常,アルカリ度測定はビュレットを用いた硫酸による中和滴定で行われるが,この方法を簡易化し安全な塩酸,安価で使いやすいスポイトを使うこととし,終点pHの確認にはBCG指示薬を用いることにした。この簡易測定法による測定結果を通常法と比較レ簡易測定法で十分に身近な降水と河川水の季節変化を確認できた。本法により児童・生徒に身近で体験的な実験・観察の機会を与えることができると考える。
日本理科教育学会の論文
2004-05-17

酸性降水の河川水への影響を調べるための簡易水質調査法の提案

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