マツ材線虫病抵抗性挿し木苗の生産における採穂個体へのマツノザイセンチュウ接種検定の有効性
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概要
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クロマツのマツ材線虫病抵抗性クローン(川内ク-290号)の実生苗38個体に対して,マツノザイセンチュウ(島原個体群)を用いて接種検定を行い,抵抗性個体を15個体選抜した。これら15個体を採穂個体として3年間連続して挿し木を行い,得られた挿し木苗に島原個体群を接種した結果,各年における健全率は61〜71%と年変動が少なく安定した抵抗性を示した。次に,12の抵抗性クローンの実生苗18個体を対象に,島原個体群より強い病原性をもつ線虫2系統(Ka-4と唐津3)を用いて接種検定を行い,抵抗性個体群の選抜を行った。選抜された9個体から挿し木を行い,得られた苗木に強病原性線虫(唐津3)を接種した結果,健全率は97.7%ときわめて高かった。このように,マツ材線虫病抵抗性種苗生産において,強病原性線虫の接種検定により抵抗性をもつ採穂個体群を選抜し,それらから挿し木を行う方法は有効であると考えられた。
- 日本森林学会の論文
- 2006-06-01
著者
-
後藤 晋
東京大学大学院農学生命科学研究科附属北海道演習林
-
森 康浩
福岡県森林林業技術センター
-
宮原 文彦
福岡県森林林業技術センター
-
後藤 晋
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林
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