クロマツのマツ材線虫病抵抗性種苗生産における挿し木技術の有効性
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概要
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マツノザイセンチュウの接種検定作業を省力化したクロマツのマツ材線虫病抵抗性種苗生産を目的として,接種検定に合格した健全な個体を採穂母樹として挿し木を行った結果,発根率は平均25.6%であった。電熱温床を用いて挿し床を加温した結果,発根率は対照区の35.5%から54.7%へと有意に向上した。採穂母樹の年齢と発根率の関係を明らかにするために,同じ採穂母樹について3年生から7年生まで毎年挿し木を行った結果,発根率は平均25.6%から47.9%の範囲で変動し,採穂母樹の年齢の増加に伴う発根率の低下は認められなかった。これは,剪定や採穂により採穂母樹の生理活性が保たれ,加齢効果が抑制されたためと考えられた。各個体の発根率には有意な年次相関があり,発根の難易が遺伝的に決定されていることが示された。接種検定合格木から挿し木増殖したクローン苗に接種検定を行った結果,生存率は平均90.3%と高かったが,健全率は平均51.6%にとどまった。これらの結果をもとに,クロマツの抵抗性種苗生産における挿し木技術の有効性について議論した。
- 日本森林学会の論文
- 2004-05-16
著者
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森 康浩
福岡県森林林業技術センター
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宮原 文彦
福岡県森林林業技術センター
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後藤 晋
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林
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後藤 晋
(独)東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林北海道演習林
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