片側膀胱尿管逆流症に対する両側膀胱尿管新吻合術の経験

概要

論文の詳細を見る
1975年5月より1984年6月までに近畿大学医学部附属病院泌尿器科にて,排尿時膀胱尿道造影により片側膀胱尿管逆流症と診断したものは236例である.このうち原発性および神経因性膀胱による224例を対象として,非連流側腎の形態的,機能的変化および膀胱鏡所見を検討した.IVPでは,非逆流側腎の23%に瘢痕や萎縮等の異常所見を認め,腎RI検査では,約半数に異常レノグラムを認めた.また膀胱鏡所見では,非逆流側尿管口の32%に開大傾向を認めた.これらのことより,片側膀胱尿管逆流症と診断されたもののなかには,非逆洗側にも逆流が存在あるいは存在していた可能が考えられた.当科では,最初,患側のみの逆流防止術をおこなっていたが,2例(22%)に対側の逆流の出現をみた.これ以降,片側膀胱尿管逆流症にも両側の逆流防止術を施行している.片側,両側を含めた逆流防止術をおこなったものは,121症例の233尿管であり,この成功率は98%と高値であった.また非逆流側腎の逆流防止術前後での腎機能推移を,腎RI検査にて検討すると,術前に腎機能低下を示していた非逆流側腎は,ほとんど逆流防止術により腎機能の回復傾向がみられた.このことから,レ線学的に逆流が証明できなかった非逆流側尿管のなかには,実際は膀胱尿管逆流が存在する症例も含まれていると考えられた.以上の点から,片側膀胱尿管逆流症といえども両側の逆流防止術を考慮すべきであろう.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1987-06-20

片側膀胱尿管逆流症に対する両側膀胱尿管新吻合術の経験

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク