高エネルギー衝撃波のBBN誘発ラット膀胱癌に対する抗腫瘍効果について

概要

論文の詳細を見る
BBNで誘発したラット膀胱癌における高エネルギー衝撃波の抗腫瘍効果を,Lithostarを用いin vivoで検討した。衝撃波照射群と非照射群との問には,発育抑制効果を膀胱腫瘍を含んだ膀胱全体の重量で検討したところ,有意差はなかった。しかし光顕的には照射群では,膀胱粘膜下の広範な出血及び粘膜上皮の剥離が認められ,また電顕的には膀胱癌細胞の多形態性徴絨毛の変性やミトコンドリアの腫大とそのクリスタの構築の破壊を認めた。フローサイトメターによる細胞周期の検討では非照射群に比べて照射群ではG2とM期細胞の割合の減少とG1,G0期細胞の割合の増加を認めた。今回の検討では高エネルギー衝撃波の抗腫瘍効果の機序は不明でありさらに照射したエネルギー量に問題が残るが,腫瘍全体としての発育抑制効果は無かったが上記の形態的な変化を認めたことより,少なくともミクロのレベルではかなりの生物学的影響を起こしていたものと考えられる。高エネルギー衝撃波は,単独のみならず抗癌剤の併用や照射量の工夫により今度の集学的癌治療における有用性が期待されうると考えられる。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-09-20