カルシウム含有上部尿路結石患者における血清および尿中シアル酸濃度の測定

概要

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(目的)シアル酸がカルシウム(Ca)含有上部尿路結石の発生に係っているか否かを検討す目的で,結石患者と非結石患者の血清および尿中シアル酸濃度を測定し,またシアル酸が蓚酸カルシウム(CaOx)結晶の凝集および成長に与える影響をseed crystal法を用いて検討した。(対象と方法)Ca含有上部尿路結石患者35例(結石患者群)と非結石患者20例(対照群)を対象に血清および尿中シアル酸を酵素法(UV-Rato法)を用いて測定し比較検討した。また,seed crystal法を用いてシアル酸のCaOx結晶に対する凝集および成長阻止活性(inhibitory activity,IA)を測定した。(結果)血清シアル酸に関しては両群間に有意差は認めなかった。尿中シアル酸に関しては,対照群の101.1±35.9mg/g creatinineに比べて結石患者群では78.3±37.8mg/g creatinine(p<0.025)と有意に低かった。seed crystal法では,シアル酸には濃度依存性のCaOx結晶に対する凝集および成長阻止作用(100mg/dlで9.3%,1,000mg/dlで84.5%)を認めた。(結論)シアル酸は尿中の生理的濃度の範囲(約5〜15mg/dl)においてはCaOx結晶に対する凝集および成長阻止作用(1.2〜2.4%)をほとんど認めなかったが,100mg/d1以上の濃度では強力な凝集および成長阻止作用を有しており,また尿中シアル酸は結石患者群では対照群に比べて有意に低いことから,抑制物質(inhibitor)であるとは言及できないが尿路結石形成過程において何らかの形で関与している可能性は否定できないと推察された。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-11-20

カルシウム含有上部尿路結石患者における血清および尿中シアル酸濃度の測定

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