「交流」型山村活性化対策と内発力 : 高知県檮原町と愛媛県久万町を事例として(1996年秋季大会自由論題論文)
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概要
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農山村リゾート,グリーン・ツーリズム関連政策による「交流」型山村活性化が成功するためには内発力の有無やその程度がかかわる。本論文では高知県橋原町と愛媛県久万町を事例として,自治体主導の下で行われている「交流」型活性化において,住民参加の視点を中心に内発力がどうかかわっているのかを歴史的な背景や構造的変化に触れながら分析する。二つの事例を比較すると,住民参加の積極性と広がりの程度が異なる。檮原町では,農林家の賃労働者化が進行する中で,地域の民主化や地域振興を住民の視点で考える動きが後退している。そうした中で「千枚田オーナー制」の充実により一定の住民参加が進展したものの,農家の高齢化や後継者難により,今後「制度」の継続そのものが難しくなりつつある。一方久万町では,畑野川地区を中心に底辺の厚い内発力の形成が歴史的な社会教育・民主化運動により蓄積され,「農山村リゾートづくり」においても機能している。このことが可能となった構造的要因として,比較的豊かな土地基盤と高度な生産力の実現の下での農林業の発展があげられる。それ故,中期的には住民参加の下での内発力の継続による地域づくりが展望できる。
- 1997-03-01
著者
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