赤クローバーの生育型に関する研究 : 第1報 生育型の分類ならびに生育型と若干の形質との関係
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概要
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本試験は早晩性を異にする赤クローバー5品種を用いて,生育型の分類ならびに生育型と草丈,茎数,生草重等の若干の形質との関連性等について調査した。その結果を要約すると次のとおりである。(1),早生種はfowering型,晩生種はnon-flowering型が多く,中生種はその両者の間で分布の巾が広かつた。(2),初年目におけるBIRDによる生育型の分類と2年目における生育型との間の関連性を調査したが,1番草においては明確な関連性は見出せなかつた。生育様相が初年目植物と類似する2番草においては約半数は一致したが,他は主として生育の進んだ方向へのズレを示した。その適合性を見出すためにはさらに調査研究が必要である。(3),初年目秋に刈取り区と無刈取り区を設けて刈取り処理によって開花,結実を妨げた場合の2年目植物に及ぼす影響を調査したが,1番草の場合若干の品種および生育型間において調査諸形質に関しては無刈取り区が刈取り区よりも有意に大であつた。これは予想に反するもであって,さらに調査研究が必要である。(4),調査諸形質の品種間および生育型間差異について調査した結果,それらは1番草においてはSiloおよびAltaswede,ならびに0〜II型が有意に大であつたが,2番草ではほぼその逆の傾向を示した。(5),調査諸形質の同一生育型内におる品種間差異について1番草で調査した結果,それらは各生育型内においてSiloおよびAltaswedeが他の早生種より有意に大であり,開花が遅いと認められた。すなわち同じ生育型であっても集団(品種)によつて形質に差異が存在する。(6),調査諸形質の同一品種内における生育型間差異についてSiloの1番草で調査した結果,それらは開花始においては(III+IV)型のflowering型が他の生育型より早かつたが,草丈,茎数および生草重ともIおよびII型が他の生育型より有意に大であつた。すなわち同じ集団(品種)内においても生育型間に形質の差異が存在する。(7),各生育型について草丈-生草重および茎数-生草重間の相関関係を調べた結果は各生育型のすべてに高い正の相関関係が認められ,かつそれらの相関係数はいずれも類似した値を示した。(8),品種および生育型と節発根および第2次植物発現との関係を調査した結果は晩生種が早生種より,またnon-flowering型がflowering型よりも生育が旺盛であり,したがつてその現象が強いことを示した。(9),生育型と生産性および永続性等を目標とした選抜との関連性,ならびに採種地を異にした場合の品種特性の変化等が今後の重要な研究対象となろう。
- 日本草地学会の論文
- 1965-09-30
著者
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