自閉症児におけるジャンケン技能の習得 : VA3歳の自閉症児の指導を通して

概要

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CAが12歳3ヵ月、VA(語い年齢)が3歳0ヵ月の自閉症男児に対して、ジャンケン技能の習得を目指して、(1)勝敗概念の形成、(2)競争意識の成立、(3)ルール(勝敗関係)の理解、(4)ジャンケンの目的の理解という段階を踏まえた指導を約5ヵ月間行った。その結果、ジャンケンの勝ちの判断が的確にできるようになり、またジャンケン技能の9ヵ月後の維持も確認された。以上の経過を先行研究と比較・検討したところ、次のことが示された。1)勝ちの概念を形成し、競争意識を成立させるためには、勝ちに対象児にとって強化力の高い強化子を随伴させる必要があった。2)ルールの理解には、勝ちの判断を文カードで表出させ、しかもそれが正しいかどうかを対象児自らがジャンケンカードをめくって視覚的に確認できる方法が効果的であった。3)ジャンケンの目的の理解には、(1)ジャンケンカードによるジャンケン、(2)ジャンケンカードと拳によるジャンケン、(3)拳によるジャンケンという段階を踏まえた指導が有効であった。4)対象児は、ジャンケン技能を獲得することが可能となったが、ジャンケンに強化子が随伴されない場合には、獲得した技能を適用しようという意欲が低かった。
日本特殊教育学会の論文
1999-09-30

自閉症児におけるジャンケン技能の習得 : VA3歳の自閉症児の指導を通して

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