水稲早生品種トドロキワセに対する深層追肥と玄米黒酢散布併用による多収穫栽培

概要

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穂数型品種トドロキワセを用いて,増収を目的に試験を行った。深層追肥の肥料を倍にした区を設け,さらに玄米黒酢散布併用が増収に有効かを検討した。結果は以下のようであった。(1)収量は表層追肥に比べて,全ての深層追肥区で増収した。収量と単位面積当り籾数との間に正の相関があり(r=0.99***),また収量と千粒重との間にも相関があった(r=0.73*)。単位面積当り籾数と穂数との間にも正の相関があった(r=0.91**)。深層追肥と玄米黒酢散布による千粒重の増加および高い登熟歩合の維持から,籾数を補える同化産物供給があったと推測された。(2)深層追肥区では,多肥区の窒素蓄積量が少なく,登熟後期まで窒素の吸収が持続しなかったことが示唆された。これは,深層追肥の適正施肥量の点が原因と考えられた。(3)玄米黒酢を深層追肥栽培のイネに葉面散布することで,有効茎歩合が高まって増収した。地上部乾物重が増加し,しかも成熟期まで上位3葉身長およびSPAD値が高く維持された。以上の結果から,穂数型品種トドロキワセの増収には,穂数増加による単位面積当り籾数確保が強く貢献すると考えられた。さらに深層追肥と玄米黒酢散布を併用することで,更なる増収が明らかになった。