共訳の試み : J.F.パワーズ作「お気に入り」のご逝去
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概要
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翻訳する際に、原本の言葉と翻訳する言葉のそれぞれのネイティブ・スピーカーが共同作業できればよいのだが、現実にはなかなかその実例は見られない。(英語と日本語に限定すると)そもそも日本語ができるネイティブ・スピーカーは日→英の翻訳作業に関わることの方が多く、それに共同訳には、訳の検討に莫大な時間がかかる。あげく、言語的にはより正確なものができようが、流れのよい、読みやすい日本語になるという保証はなく、むしろ1人でする作業の統一感を欠くおそれがあるからであろう。武田(以下T)は、長年翻訳に携わってきたが、このたびようやくネイティブ・スピーカーとの共同訳の機会に恵まれた。この作品はSchwemmer(以下S)に紹介されたものだった上、作品そのものの理解において、Sのアメリカ中部出身、ドイツ系、カトリックなどのバックグラウンドの知識がどうしても必要なものであった。さらに、Tのこれまで関わってきた翻訳はほとんど詩であったため、散文の翻訳は共訳が望ましかった。今回の共訳はこのように好条件が揃った賜物である。翻訳に当たっては、まずTが試訳をつけ、それに対しSが各行に4,5箇所添削を加え、それを両者で検討した。この過程で、様々な興味深い言語上・文化上の問題が出てきてそれもまとめたが、ページ数の関係で、「英文学会誌」紀要に譲る。本稿に収録したのは、作者紹介・訳・注である。
- 2008-01-31
著者
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