水稲栽培におけるリン酸培地を用いた全量苗箱施肥技術の開発

概要

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1)リン酸培地を使用した全量苗箱施肥法が,水稲苗の生育,養分吸収に与える影響を検討するため,育苗試験を行った.全量苗箱施肥法において,リン酸培地を床土として使用して育苗した場合,水稲苗の充実度は慣行区よりも高まった.また,水稲苗の窒素,リン,カリウムの含有率は慣行区と同程度であり,ケイ素含有率についてはリン酸培地を使用することにより有意に増加した.2)リン酸培地の接触施用が水稲の生育収量に及ぼす影響を検討するとともに,施肥リン利用率を差し引き法で明らかにすることを目的として2種類のアロフェン質黒ボク土を用いてポット試験を行った.蔵王未耕地下層土および真岡水田次表層土のいずれの土壌においても,リン酸培地を接触施肥した水稲の乾物重とリン吸収量は,重過石を全層および側条施肥した場合と同程度かそれ以上であった.また,リン酸培地を接触施肥した水稲の施肥リン利用率は,重過石を施用した場合と同等かそれ以上であった.試験Iの跡地に,窒素とカリウムのみを施用して水稲を栽培した結果,リン酸培地を施用した区で乾物重およびリン吸収量が最も高かった.また,水稲の施肥リン利用率についても,リン酸培地区で最も高かった.以上の結果より,リン酸培地の全量苗箱施肥法への使用は,リンの全量苗箱施肥を可能とし,水稲の省力・低コスト栽培技術として有効であることが期待される.
2007-04-05

水稲栽培におけるリン酸培地を用いた全量苗箱施肥技術の開発

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