水稲の移植栽培における省力・低コスト化栽培技術の現状と課題

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米の生産過剰と全国的に画一な良食味米の作付け化が進む中で,生産米価が低迷し,崩壊しつつある.このような中で,水稲生産の省力・低コスト化が強く求められており,わが国独自の直播栽培技術の確立・普及が叫ばれてきた.関係者の多大の努力の結果,「日本型」直播栽培技術はほぼ確立された感がある.しかし,このような努力にも関わらず,直播栽培の普及面積は,平成12年度においても約8900haと全水稲作付け面積の1%にも満たないのが現状である.この背景としては,直播栽培での苗立ちの不安定さおよび直播栽培への移行に伴う新規栽培管理技術の修得の必要性,資材(直播栽培用機械,農薬等)購入費の増加や気象条件による計画的作業が困難等が考えられるが,その最大の阻害要因は,既に小・中型田植機利用によるわが国独自の移植栽培技術が確立されていることがあげられる.今後,わが国においても,農業後継者不足や農業従事者の高齢化に伴う耕作の受・委託が進み,水田区画の大規模化や経営規模の拡大により,直播栽培への移行が考えられる.しかし現実には,移植栽培技術の中での省力・低コスト化を考えることも必要である.このような観点から,本ミニシンポジウムでは,4人の講演者の方に,移植による水稲栽培の省力・低コスト化技術の現状について,(1)大区画化・大規模化,(2)育苗技術,(3)田植えの省力化,(4)本田管理・栽培技術,(5)環境負荷への影響,等の観点から話題提供いただき,さらに今後一層,省力・低コスト化移植技術として普及・発展させるために,残された問題点についても整理いただいた(山本由徳).
日本作物学会の論文
2001-12-05

水稲の移植栽培における省力・低コスト化栽培技術の現状と課題

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