サゴヤシ(Metroxylon sagu Rottb.)髄部における多量無機元素含有量の樹齢による変化

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マレーシア,サラワク州ムカの浅い泥炭質土壌(SPS)と鉱質土壌(MS)に生育するサゴヤシを対象として,サゴヤシ樹幹髄部における多量無機元素(N,P,K,Ca,Mg)の樹齢に伴う樹幹の長軸および放射方向に沿っての含有量,樹幹当たりの平均含有量および蓄積量の変化について検討した.樹幹当たりの髄部の平均多量無機元素含有量(g kg^<-1>)は,生育土壌や樹齢に関わりなくK>Ca>N≧Mg>Pの順に高かった.また,Pを除くと,いずれの元素も樹齢が若いほど含有量が高く,樹齢8〜10年目(幹立ち後4〜6年目)にかけて低下し,その後の変化は小さかった.P含有量は他の元素に比べて含有量が著しく低く,樹齢による変化も小さかった.髄部多量無機元素の樹幹長軸に沿った含有量の分布を見ると,Kでは樹齢に関わりなくほとんど変化が見られなかったのに対して,その他の元素は基部ほど低く,頂部ほど高い傾向を示した.一方,樹幹放射方向における多量無機元素含有量の分布を見ると,NとMgは樹齢に関わりなく周辺部>中心部であり,Pの差は小さかった.Caは樹齢4〜6年生では中心部>周辺部,8年生以上では逆に周辺部>中心部の傾向にあった.また,Kは樹齢4〜6年生ではNとMgと同様に周辺部>中心部であったが、8年生以上では樹幹の長軸の位置によって異なり,基部,中央部,頂部で,それぞれ中央部,中間部,周辺部で最も高くなった.前部への多量元素の蓄積は,生育土壌に関わりなくK>Ca>N>Mg>Pの順に多く,髄部乾物重と同様にS掌状曲線に沿って増加したが,同一樹齢におけるKの蓄積量はMS>SPSであった.以上より,サゴヤシ髄部における多量無機元素の中では,生育土壌や樹齢に関わりなくKの含有量,蓄積量が最も高いのみならず,その樹幹の長軸,放射方向の含有量の分布パターンも他の元素と異なっており,髄部におけるデンプン蓄積との関係についての検討が必要と考えられた.
日本熱帯農業学会の論文
2003-09-01

サゴヤシ(Metroxylon sagu Rottb.)髄部における多量無機元素含有量の樹齢による変化

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