繊維製品の汚れに関する研究(第7報) : 樹脂加工布の汚染性および洗浄性
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概要
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前報において,樹脂加工綿布の汚れやすさ,および付いた汚れが著しく洗浄し難い性質は,併用されているアクリル系ポリマーが主因であることを確め得たので,本報には引続き次のような事実を検討した。1)アクリル系ポリマーを,レーヨン・アセテート・ビニロン・ナイロン等による織物の加工に用いても,綿布の場合と同様な著しい汚れ保持性が現われ,ことに石けん液洗浄によつても洗浄し難くなる。繊維種別によつての差異を認めにくいことから,これらの諸性質は,繊維表面に形成されたアクリル樹脂皮膜の性質によるものと考えられる(実験I,第3〜10表,第1図)。2)ジメチロールエチレン尿素による加工によつても,若干の洗浄率低下が見られるが,アクリル系ポリマーを用いた場合のような甚しいものではない。3)綿布だけにつき,アクリル系ポリマーを除く,各種の型の加工用樹脂や撥水剤を用いて処理し,同様に汚染性および洗浄性を検討したが,アクリル系のような著しい汚れ保持性は認められなかつた。エマルジョンの形で使用されるものは,木綿繊維の表面状態を変化することも加わつて,水洗浄率は著しく低下するが,石けん液による洗浄性は高く,アクリル系ポリマーによる加工布の汚れ保持性は,単に表面状態のためばかりではないものと考えられる。
- お茶の水女子大学の論文
著者
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松川 哲哉
Laboratory of Textiles, Faculty of Home Economics, Ochanomizu University
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松川 哲哉
Textile Laboratory Faculty Of Home-economics Ochanomizu University
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