纎維製品の汚れに関する研究(第4報) : 汚染糊付布の洗浄性
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概要
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各種の糊料ポリマーにより糊付けした木綿布につき,第3報のような人工汚染を施したのち洗浄試験を行い,次の如き結果を得た。1)汚染率(第3報)からは明瞭な差異が現われない場合にも,洗浄性からは用いた糊料の差が明らかに生じ,これを糊料の広義の防汚性と考えることができる。各種の汚染法による差異は洗浄性においては少なく,糊種・洗浄条件の差が遥かに大きい。2)澱粉糊付布は,水分散・四塩化炭素分散いずれの汚染によつても,また水洗浄・洗剤液洗浄によつても,未糊付布よりも洗浄率が劣る。ただし,ソジウムカルボキシメチル化したSCMSによる糊付布は,SCM基の置換度とともに水洗浄率を増す。3)PVA糊付布は水洗浄によつては洗浄率が未糊付布よりも低いが,洗剤液洗浄によつてはほぼ同程度になる。冷水可溶性の部分鹸化PVA(PVA-Ac)による糊付布は,いずれの場合にも未糊付布の洗浄率よりも高く,布への付着量や洗浄温度の効果が大きいが,アルカリ液による洗浄率は水洗浄率よりも低い。4)SCMC糊付布はいずれの場合にもさらに未糊付布よりも洗浄率が高いが,食塩・苛性ソーダの共存ではそれらの濃度とともに水洗浄率が減少する。この現象は,SCMSや次項においても認められる。なおNH_4-CMC糊付布の洗浄性は小さい。5)アルギン酸ソーダ等の高分子電解質を糊料として用いた場合には,やはり洗浄率が高いが,SCMC・SCMSと同様にアルカリ洗浄率は水洗浄率よりも低下する。
- お茶の水女子大学の論文
著者
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松川 哲哉
Laboratory of Textiles, Faculty of Home Economics, Ochanomizu University
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松川 哲哉
Textile Laboratory Faculty Of Home-economics Ochanomizu University
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