輸送によりヤギの間脳および下垂体に発現するc-Fosタンパク質の分布

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輸送は家畜にとって強いストレスとなる。本研究では、c-Fosタンパク質の発現を細胞の活動の指標として、ヤギの間脳および下垂体において輸送に関わる神経核および神経組織領域を明らかにした。シバヤギ去勢オス10頭を用い、5頭を輸送実験に供試し(輸送群)、残る5頭を通常飼育のままとした(対照群)。輸送群には1時間の輸送を負荷した。さらに、輸送が血漿中コルチゾル濃度に及ぼす影響も検討した。ヤギの血漿中コルチゾル濃度は輸送により顕著に増加し、輸送群の血漿中コルチゾル濃度は同時刻の対照群のそれに比較して有意に高かった(P<0.05)。c-Fosタンパク質の免疫組織化学の結果、間脳においては、対照・輸送いずれの群においても以下に挙げる11の神経核および領域にc-Fosタンパク質陽性(c-Fos IR)細胞が発現していた-弓状核(ARC)、梁下野、分界条床核(BNST)、外側中隔野、視索前野(POA)、室旁核小細胞群(PVNp)、室旁核大細胞群(PVNm)、視交叉上核(SCN)、視床の室旁核、視床髄条、視索上核-。しかしながら、PVNm、PVNp、BNST、POAにおいて、輸送群のc-Fos IR細胞数は対照群のそれと比較して有意(P<0.05)に多く、また統計的に有意ではないもののARC(P=0.052)とSCN(P=0.082)において類似の傾向がみられた。下垂体前葉においては、輸送群のc-Fos IR細胞数は対照群のそれの4倍から30倍多かった。一方、下垂体中葉および後葉においては、対照・輸送群の間にc-Fos IR細胞数に相違はなかった。本研究の結果より、間脳におけるPVNm、PVNp、BNST、POA、ARC、SCNおよび下垂体前葉は、ヤギにおいて輸送に対するストレス反応に深く関わる部位であると考えられた。

輸送によりヤギの間脳および下垂体に発現するc-Fosタンパク質の分布

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