『山芋』顕彰碑建立の問題についての一考察
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概要
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寒川道夫編・大関松三郎詩集『山芋』(百合出版,1951 年)は戦前の小学生・大関松三郎の児童詩ではなく,編者の寒川道夫が戦後に書き下ろした少年詩であるとする見解を,筆者は著書『「山芋」の真実-寒川道夫の教育実践を再検討する』(教育史料出版会,1996 年)において示している.その著書の出版まもなくの1997 年に,筆者の見解を否定し寒川道夫を擁護することを目的とした「『山芋の真実』検討会」なるものが生まれた.その「検討会」は研究集会を重ねたものの,反証は示さぬままに1 年間で研究集会を中断した.ところが,その「検討会」(改称後は,寒川道夫研究会)が2004 年に『山芋』顕彰碑を建立した.その碑文は1985 年に中野光が書いた寒川の評伝に酷似したものであり,しかも,その中野の評伝は今日の寒川道夫研究や『山芋』研究の水準からみれば検証に耐えないものである.しかし,建立された『山芋』顕彰碑は,寒川道夫や大関松三郎への関心を改めて喚起し始めている.今後,『山芋』顕彰碑が,寒川が犯した歴史の偽造を拡大再生産する役割を果たすことが危惧される.
- 文教大学の論文
- 2007-12-20
著者
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