平成18年度長崎大学公開講座 「遺伝学講座 IV」 の開催報告
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概要
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遺伝医療の急速な発展により,遺伝子検査の対象疾患は遺伝子病だけではなく高血圧や糖尿病のような一般的疾患にも広がっている。また,その目的も疾患の確定診断から発症前診断や疾患感受性診断へと拡大してきており,遺伝医療の用途は今後も多様化・一般化されることが予測される。一方で,遺伝技術の消費者である一般市民に必要な遺伝学の知識が普及しておらず,それが遺伝子疾患への偏見や差別につながることが懸念されている。その一つの要因として,遺伝学を学ぶ唯一の機会である高校における生物科目の選択化やヒトの遺伝に関する教科書記載の減少など,遺伝学の公的教育の後退が挙げられる。本学では一般市民への生命の尊厳を伝える手段として遺伝教育が必要であると考え,平成15年から市民を対象とした遺伝学公開講座を開催している。第1回目は,市民に広く遺伝学の基本的知識を普及することを目的とした講演会を開催した。そして,本講座の内容や対象者を検討していく中で,我々は幼い時期からの生命に関する教育が急務であると考えた。その社会的背景として,バーチャル体験に影響を受けた青少年による殺人や学校内でのいじめなど新たな社会問題の増加である。そこで,平成16年度からは遺伝学を通した命の大切さの教育を目的として,小中学校や保護者及び教師を対象とした遺伝学講座をワークショップ形式で開催してきた。今回の講座では,発達や学習カリキュラムの面からヒトの遺伝を学習する動機付けの環境が整っている小学校高学年を対象とした。プログラムでは,自分の身体的特徴の着目した体験学習によってヒトの唯一性及び多様性を実感できるように企画した。その実施内容と評価について報告する。
- 長崎大学の論文
著者
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佐々木 規子
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
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井上 晶代
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
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荒木 美幸
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
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井上 晶代
元長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
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