北海道の旧産炭地における侵略的外来種ニセアカシアの分布現況とその歴史的背景
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
旧産炭地である北海道美唄市近郊の100km^2(10×10km)を対象に、侵略的外来種ニセアカシアの分布域と分布の歴史的背景について調査した。人工衛星画像および現地踏査により、対象地域のニセアカシアの分布面積は0.989km^2(98.9ha)と計算された。1962、73、82、93年の空中写真を判読して土地利用を分類した結果、ニセアカシア分布域は過去に伐採を受けたか、農耕地や炭鉱関連施設等に利用された経歴を持つ場所が多かった。伐採跡地では1962〜73年の間で急速に、農耕地や炭鉱関連施設跡地では1962〜93年の間で徐々に森林化が進んだ。ニセアカシア分布域に隣接する非分布域の森林では、過去に伐採や土地利用の形跡のない森林が25.0%を占め、分布域における11.7%より有意に高かったことから、攪乱を受けない森林ではニセアカシアが進入しづらいと考えられた。これらのことから、森林伐採後の不成績造林地や耕作放棄地、炭鉱跡の空き地など、管理放棄された土地の発生がニセアカシアの分布拡大の誘因となっていることが示唆された。
- 2007-11-30
著者
関連論文
- 農地周縁の緩衝林として植栽されたアカエゾマツの成長に影響を及ぼす立地要因
- 防風林の風倒要因の解析 : 2004年台風18号による北海道美唄市の例
- 北海道の旧産炭地における侵略的外来種ニセアカシアの分布現況とその歴史的背景
- 伐採時期の異なるニセアカシアの萌芽枝の動態
- ニセアカシア人工林における植物種多様性
- アカエゾマツの葉サイズに対する微地形の影響 : 長寿命の葉を利用した過湿環境の評価
- 北海道北部におけるカシワ海岸林の動態
- 樹冠組成と下層植生からみた恵庭岳滑降競技場跡地の植生回復
- 北海道渡島半島におけるヒノキアスナロ天然林の林分構造と樹種の共存関係
- 2003年台風10号災害における厚別川流域河畔林の被害状況と流木発生・捕捉量の定量化