蛇紋岩土壌における土壌攪乱強度と二次林の成長
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概要
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北海道北部の音威子府村にある蛇紋岩土壌のササ地に, 樹木の更新を図るために1969年に除草剤を散布し, 翌年に強度を変えたかき起こしを行った。その後成立した林分について, 1984年から継続的に毎木調査を行い, 表土の攪乱強度と更新樹種や更新木の成長の関係を調べた。強度のかき起こしを行った強度区では多数の針葉樹の更新がみられ, 弱度かき起こしの弱度区や除草剤散布のみの対照区では針葉樹はほとんど更新しなかった。しかし, 強度区では針葉樹, 広葉樹ともに成長が非常に悪く, 健全な林分成長は期待できないことがわかった。一方, 弱度区や対照区では一般的な土壌と変わらない成長がみられ, とくに斜面下部で地位が高いと考えられる弱度区では, 非常に高い成長がみられた。これらのことから, 蛇紋岩土壌では, 表土を剥ぎ取るような強いかき起こしを避けるべきだといえる。蛇紋岩土壌であっても, 表土の攪乱をなるべく抑えた更新補助作業を行えば, 一般土壌とそれほど変わらない林分成長が得られることがわかった。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1999-11-16
著者
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