黒ボク土下層の酸性が混播牧草の生育収量および草種構成におよぼす影響 : I.アルファルファ・オーチャードグラスの混播栽培と下層土酸性

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黒ボク土下層の酸性状態が混播牧草の生育収量および草種構成におよぼす影響を明らかにするため,下層土に強酸性の非アロフェン質川渡土壌と弱酸性のアロフェン質蔵王土壌を充填した試験区を設け,3ヶ年にわたってアルファルファとオーチャードグラスの混播試験を行った。耐酸性の弱いアルファルファは強酸性下層土の川渡区でAlの過剰障害が発生し,下層土への根張りが著しく阻害された。これに対して,弱酸性下層土の蔵王区では正常な生育を示した。一方,耐酸性の強いオーチャードグラスの場合には両区で正常な生育を示した。基肥硫安は容易に硝酸化成をうけ,秋雨によって下層土へ移動した。その結果,根粒の着生の遅いアルファルファは,下層土への根張りが制限された川渡区で初期生育段階に窒素不足を示した。川渡区のアルファルファは,下層土への根張りが不良であったため,干ばつ年の夏季には蔵王区に比べて著しい"しおれ"現象を示した。川渡区のアルファルファの乾物収量は,生育初期の窒素不足と夏季の水分ストレスの影響をうけ,蔵王区に比べて著しく少なかった。これに対して,オーチャードグラスの乾物収量は,蔵王区と同程度かそれ以上であった。また,川渡区の年間総乾物重は蔵王区より2-3割低かった。両区の草種構成を比較すると,強酸性下層土の川渡区では試験期間中,常に蔵王区よりアルファルファの割合が著しく少なかった。以上のことより,牧草の生育にとって下層土は養水分の吸収の場として重要であり,また混播草地におけるマメ科率の低下の一原因として下層土の酸性状態が関係していることが明らかとなった。
日本草地学会の論文
1985-07-30

黒ボク土下層の酸性が混播牧草の生育収量および草種構成におよぼす影響 : I.アルファルファ・オーチャードグラスの混播栽培と下層土酸性

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