牧草の耐凍性に関する研究 : III.数種牧草の器官別の耐凍性
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概要
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北海道根釧地方における牧草の越冬性が,その耐凍性に支配されている程度を草種ごとに明らかにするためにイネ科草9種,マメ科草3種を供試し,12月上旬における器官ごとの耐凍性およびそれらの越冬中にさらされる温度を測定した.その結果,オーチャードグラス,メドウフェスク,ペレニアルライグラスのような地上冠部性のイネ科草の葉原基あるいは茎原基は-15℃(凍結時間は16時間,以下省略)での凍結により枯死し,12月〜1月における積雪の少ない条件では,それらの器官はその枯死温度近くまで冷却される可能性が大きかった。一方,地下器官をもつイネ科草の中ではチモシーの耐凍性がもっともすぐれており,茎基および分げつ芽の枯死温度は-25℃であった。他の地下器官型イネ科草の地下茎や分げつ芽は-13〜-20℃で著しい凍害をうけたが,それらの器官は地下1-5cm部位にあってそれらの致死温度まで冷却されにくいため,地上部が枯死しても地下器官より再生する可能性が強かった。マメ科草の耐凍性は一般にイネ科草よりも劣り,ラジノクローバのランナーは-7℃よりも低温での凍結で著しい凍害をうけたが,完全枯死をまぬがれた場合には再生力が強じんなためランナーの節より小葉と新根を発生させることができた。また直根性のアルファルファやアカクローバの冬芽や葉の原基は-7℃以下での凍結により凍害を生じ,とくに直根は-10〜-13℃で致命的な凍害をうけたため,これらの草種ではイネ科草との混播や秋の生育を助長してウインターカバーを確保するとともに,地中深く根張りをさせて凍上を防ぐことが肝要であると思われた。
- 1982-10-28
著者
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