根釧地方におけるオーチャードグラス草地の冬枯れ対策法 : I.オーチャードグラス単播草地の周年的管理法
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概要
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根釧地方では冬期の気象が寡雪寒冷なため,オーチャードグラス草地では冬枯れが発生しやすく,永続性はきわめて不安定である。そこで本試験では春夏と秋の管理条件を組み合わせてオーチャードグラス単播草地における周年的な冬枯れ対策法を検討した。その結果,1)春夏の少回刈り一多肥管理はオーチャードグラス草地の草生回復,おう盛化をうながし,収量確保を可能にしたばかりでなく,翌春の再生をも良好にした。2)8月下旬の追肥は秋の収量を高め,同時に越冬前の子分げつ茎数の増大をうながした。これにより早春の再生茎数が増し,春の収量は著しく高まった。また11月上旬の最終利用は秋の収量が多く,翌春の再生を良好にしたが,9月中旬〜10月上旬の利用では越冬性が低下した。3)早春の再生茎数が約1,300本/m^2以下に減少すると生産性が低下するため,それ以上の茎数を確保することが重要であり,春夏め多肥と8月下旬の追肥を組み合わせた管理によって早春再生茎数の経年的減少が軽減した。4)以上の結果,ある程度冬枯れを軽減し,早春から晩秋の平均した生育を保ちつつ,経年的に生産性の維持をはかるための管理として,春夏の少回刈り一多肥,8月下旬の追肥および11月上旬の最終利用が有効である。なお,本試験の遂行にあたっては根釧農業試験場袴田共之研究職員の御協力を得た。また本報のとりまとめに際し,当場松代平治場長ならびに小関純一草地科長には御懇篤な御助言および御校閲をいただいた。ここに記して謝意を表する。
- 日本草地学会の論文
- 1979-01-31
著者
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