イネ科牧草,野草およびマメ科牧草の光合成に及ぼす葉内窒素濃度の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
C_3植物である寒地型イネ科牧草,マメ科牧草およびC_4植物である暖地型牧草,野草(カゼクサ,チカラシバ),雑草(メヒシバ,イヌビエ)を用いて,葉身の窒素と個葉光合成速度の関係を検討した。1)単位窒素量(Nmg/dm^2 leaf area)当りの個葉光合成速度は,C_4草種はC_3イネ科牧草の1.5〜2倍,マメ科牧草の約2.5倍であり,C_3イネ科牧草はマメ科牧草の約1.3倍の値を示した。また単位窒素量当りの個葉光合成速度と葉身窒素濃度との間には適値が存在し,葉身窒素濃度の適値は,C_3イネ科牧草では2〜3%の範囲,マメ科牧草では約5%であり,C_4草種では,耕地雑草は約4.5%,野草は約1.7%,暖地型牧草は2.5〜3.5%の範囲であった。2)葉身窒素濃度と個葉光合成速度との間には,各草種とも直線式または2次曲線式が適合し,葉身窒素濃度が低い領域では,その関係は直線的であり,高濃度では,多くの草種で光合成速度は頭打ちないし低下した。個葉光合成速度が最大値を示した時の窒素濃度は草種によって異なり,C_3イネ科牧草では4〜6%,マメ科牧草では約6%,C_4草種では4〜5.5%であった。3)光・光合成曲線の勾配は葉身窒素濃度が同程度の場合にはC_4草種がC_3草種に優れた。光・光合成曲線は葉身の窒素濃度によって著しく異なり,各草種とも窒素濃度の高い葉身の光・光合成曲線は,低濃度のそれに比べ,弱光下では大差なく,中〜強光域では明らかに急勾配を示した。また葉身窒素濃度が約2%以下では,いずれの草種も強光にほとんど反応しなかった。
- 1982-02-28
著者
関連論文
- イタリアンライグラスと部分耕トウモロコシ2期作を組み合わせた年3作体系において年間分の堆肥を一括施用する場合の適切な施肥体系
- トウモロコシ部分耕栽培における前作イタリアンライグラスの抑制方法
- 部分耕播種機によりイタリアンライグラス1番草収穫跡地に播種したトウモロコシの収量に及ぼす耕種的制御の影響
- 前作収穫跡におけるスラリーを追肥利用するトウモロコシ部分耕栽培
- イネ科飼料作物のヒートパルス法による蒸散流速と重量法による蒸散速度の比較
- 灘防除雑草の被害を回避する飼料作物栽培
- イタリアンライグラスの周年栽培に関する研究
- イネ科牧草,野草およびマメ科牧草の光合成に及ぼす葉内窒素濃度の影響
- 2-12 エンバク、イタリアンライグラスおよびトウモロコシの収穫後に部分耕法、表面撹拌法で播種されたスーダングラスの生産性
- 2-11 飼料イネの多回刈栽培用の適品種選定と有望在来種の特性
- 部分耕播種とロールベール収穫を組み合わせたスーダングラスの一貫省力栽培 (省力的粗肥料生産と乳牛への給与技術)
- 九州地域の飼料畑における帰化雑草の発生実態
- イタリアンライグラスリビングマルチ及び播種期移動によるトウモロコシ畑のハリビユの防除
- 播種日の違いがイチビの開花と種子生産に及ぼす影響
- 自給飼料生産力の現状と拡大の可能性 (特集 飼料自給率の向上にむけて)
- 新開発の長大作物用細断型ロールベーラとそれを利用するための周辺技術
- 草地畜産研究者になるためのアプローチ(草地研究者に望む)
- 特集の背景と目的(安全安心な畜産物生産を目指した土地利用型畜産の方向(1))
- 有機飼料を国内で生産するための技術開発と問題点(飼料の安全・安心をどのようにかち獲るか?)
- 書名:「日本の草地酪農の小史」, 著者:廣田秀憲, 発行所:新潟日報事業社, 全94頁, 定価:1,400円
- 95 牧草類の群落表面温度,気孔開度,蒸散抵抗の日変化
- イタリアンライグラスおよびオーチャードグラスの個葉光合成速度の季節変動
- 数種の暖地型牧草における個葉光合成と窒素栄養の関係
- イタリアンライグラスの発芽に及ぼす温度と水分の影響