イタリアンライグラスおよびオーチャードグラスの個葉光合成速度の季節変動
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概要
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牧草の季節生産性を解明するために,イタリアンライグラスとオーチャードグラスを用いて,個葉光合成速度の季節変動と個葉のageingに伴う光合成速度の推移の実態を明らかにした。さらに,春季の光合成に及ぼす低温の影響についても検討した。実験は1975〜1977年の3ヵ年にわたって行った。1)個体の活動中心葉の個葉光合成速度は,越年生のイタリアンライグラスでは播種当年の秋季と翌春の3〜5月に高く,永年生のオーチャードグラスでは春季の4〜5月に最も高く,秋季の10〜11月にもやや高かった。2)イタリアンライグラスの冬季の暗呼吸速度は他の季節に比べ高い傾向がみられた。3)イタリアンライグラスの冬季の個葉光合成速度は測定前10日間の最低気温および平均気温と密接な関係を有し,オーチャードグラスでは春季の個葉光合成速度が測定前10日間の平均,最高および最低気温と有意な相関関係を示した。4)ageingに伴う個葉光合成速度の推移は,冬季には出葉展開後3〜5週間を経た葉の光合成速度が出葉展開後まもない葉よりも高く,光合成機能の老化は緩やかであった。春から夏にかけては,出葉展開後まもない葉の光合成速度が高かったけれども,その持続期間は比較的短かかった。5)着生葉位が上位の葉は,下位葉に比べて強光から弱光域まで高い光合成速度を示した。6)個葉光合成速度に及ぼす低温の後作用について検討した結果,-4℃から-6℃の低温処理(温度前歴8℃)では,両草種とも凍結傷害あるいは光合成機能に致命的な被害を受けること,-2℃の低温処理では,前歴が10℃の場合には光合成速度は2〜3日で原状に復したのに対し,前歴が15℃の場合には処理1週間後で20〜50%の回復にとどまることが認められた。
- 日本草地学会の論文
- 1980-10-31
著者
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