カスタードプディングの特性におよぼす乳の種類の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
山羊や羊の持つ資源を有効に利用し,中山間地域等における地域振興および活性化につながるものとして,山羊および羊の生産物である乳に着目した.本研究では,栄養的な付加価値があり,老若男女に受け入れられ,誰にでも簡単に作ることができる食品としてカスタードプディングへの利用を検討し,以下の結果が得られた.1)プディングの水分含有率は,牛乳から調製したプディングで74.3%,山羊乳から調製したプデ,イングでは76.4%,羊乳から調製したプディングでは71.0%であり,水分含有率に顕著な違いは認められなかった.糖度は,牛乳は22.7%,山羊乳は19.7%,羊乳は29.0%であり,羊乳から調製したプディングの糖度が高い値を示した.2)いずれの乳から調製した卵液も,蒸し焼き時間が長くなると破断ひずみの値は増加し,蒸し焼き開始20分後以降に顕著に増加した.破断応力も破断ひずみと同様の傾向を示した.蒸し焼き開始20分後以降に,各卵液の温度は70℃以上となり,卵液がゾルからゲルに変化し始めたことが推測された.3)2倍希釈のプディングの破断ひずみは,0.13〜0.16(m/m)であり,4倍希釈のプディングは0.12〜0.16(m/m)であった.2倍希釈のプディングは4倍希釈のプディングに比べて変形しやすい傾向にあった.羊乳から調製したプディングは牛乳や山羊乳から調製したプディングに比べ,破断ひずみの値は低く,変形しにくいプディングであることがわかった.2倍希釈のプディングの破断応力の値は,4倍希釈のプディングの2.6〜3倍値が高くなり、硬いプディングであることがわかった.いずれの希釈濃度においても羊乳から調製したプディングの破断応力の値が高く,硬いプディングであり,山羊乳から調製したプディングの値は低く,やわらかいプディングであることがわかった.4)官能検査の結果から,牛乳から調製したプディングに比べて,山羊乳から調製したプディングは食べた時にやわらかくなめらかで,甘くコクがあり,食後の香りが好ましいプディングであると評価された.羊乳から調製したプディングは,食べた時に甘くコクのあるプディングであると評価された.「総合評価(プディングとしての好ましさ)」では,牛乳,山羊乳,羊乳から調製したプディング間のいずれにも有意差は認められなかった.これは「牛乳,山羊乳,羊乳からそれぞれ調製したプディング間には優劣がつけられない」と評価され,山羊乳および羊乳をプディングの材料として利用することが十分可能であると考えられる.
著者
関連論文
- ホワイトソルガム粉のスポンジケーキへの利用に関する研究 (第1報)
- 食品の入手状況からみた食物摂取状況に関する検討
- 6ZL-2 調理師の視点に基づく地域食材情報提供システムの構築(情報システムの事例,学生セッション,コンピュータと人間社会)
- 山羊乳から調製したヨーグルトの特性に関する研究
- 地域性のある食品と健康・文化に関する研究 第2報(学部プロジェクト研究報告)
- 地域性のある食品と健康・文化に関する研究(学部プロジェクト研究報告)
- カスタードプディングの特性におよぼす乳の種類の影響
- アガロースゲルの離漿に関する電顕観察
- 正月の食生活の実態(第1報) : 三が日の喫食料理の時系列解析
- 岩手県観光客の食に関する意識について(第 2 報) : 朝食からの検討
- アガロースゲルの離漿に及ぼす各種糖の影響
- アガロースゲルの透水性とその力学的性質
- 寒天ゲルの離漿の速度解析
- 食品の離漿現像-2-各種糖のアガロ-スゲルの離漿におよぼす影響
- 食品の離漿現象-1-寒天ゲルの離漿の速度解析
- 山羊乳から調製したヨーグルトの特性に関する研究
- 寒天ゲルの性状に及ぼす糖類の影響
- エリスリト-ル・ショ糖混合ミルクゼリ-の性状
- 岩手県観光客の食に関する意識について(第 1 報)
- 食物摂取状況からみた地域性のある食品の利用状況に関する検討
- 短大生の入学時における食生活と食物に関する知識及び技術について
- ゼラチン/アガロース混合ゲルの離漿現象について(佐々木肇教授退職記念号)
- アガロ-スおよび糖添加アガロ-スゲルの粘弾性の温度依存性
- アガロ-スゲルの離漿におよぼす糖添加濃度の影響
- 水羊羹の調理特性について
- 特色ある教育活動を実践している大学の視察報告
- エゴマ油を揚げ油として利用するための検討
- 学生のコンビニ商品開発の取り組みについて
- 北上産黒大豆「黒千石」の調理特性に関する研究 (第1報) : 水煮豆への利用