援助技術の総合学習過程 : 自己の生活史発見と事例による演習と事例の実践研究をとおして
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概要
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ソーシャルワーカーの養成・訓練のための、自己の生活史の発見(自己発見)、事例による演習(事例学習)および事例の実践研究(事例研究)をとおした、社会福祉援助技術の総合学習過程について報告する。社会福祉援助技術の総合学習の目的は、(1)参加者による自己の生活史発見をすること、(2)事例演習の役割体験により援助技術の有効性を実感すること、(3)事例研究により援助技術の有効性を確認することである。事例学習の参加者たちは、まず自己の生活史を繙き、自らが事例の役割を分担し、事例役割の模擬演技による援助技術の体験学習をする。((1)「自己理解」・「共感体験」の段階、(2)「関係形成」・「課題実施」の段階、(3)「記録確認」・「振り返り」の段階。)事例研究の参加者たちは、事例対象の事前調査をし、事例援助の役割を分担し、その実践結果を振り返って事例検討をする。((1)「対象理解」・「機能診断」の段階、(2)「関係形成」・「課題実施」の段階、(3)「振り返り」・「事例検討」の段階。)その結果、事例学習の参加者たちは、事例を用いた演習をとおして、つぎのことを学んだ。(1)学習参加者の自己の生活史への気付きを基礎に、(2)障碍をもつ生活者、家族、援助者間の共感関係と役割同行の模擬体験をし、(3)障碍をもつ生活者への理解・会話・行動援助の技術の必要性・可能性を実感した。また、事例研究の参加者たちは、事例援助の実践研究をとおして、つぎのことを学んだ。(1)対象者の生活史への援助者の気付きを基礎に、(2)障碍をもつ生活者への理解・会話・行動援助における共感関係と役割同行の実践体験をし、(3)障碍をもつ生活者への理解・会話・行動援助の技術の有効性・創造性を確認した。援助技術の総合学習の参加者たちは、自己の生活史発見と事例による学習と事例の実践研究をとおして総合的・段階的に学習する過程で、援助技術に関する様々な気付きを得ることが出来た。すなわち、現場職員の協力を得つつ実施した、学習参加者による自己発見、事例学習、事例研究をとおした社会福祉援助技術の総合学習が効果的であることが確認された。
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