痴呆性高齢者の心理・社会的な理解と共生のアプローチ : 逆向性の記憶障害をもつ人の心の働きを支えるための視点と方法
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概要
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私たち(家族・援助者・研究者等)は、逆向性の記憶障害を主な特徴とする痴呆症者(例えばアルツハイマー症等の人々)自身が描いている心的世界を理解し、彼らの自己と環境を統合する自我機能の豊かさ(強靭性・柔軟性・多様性)を実証し、本人・家族・援助者の苦悩を軽減する方法を開発することを求められている。本稿では、逆向性の記憶障害をもつ人々への理解・援助の実状と課題を検討し、対象主体の内的世界の理解と援助(ニーズ)の基本的視点、および、面接による援助関係形成(サービス)の方法について考究する。1.実状では、対象者に対して、援助者は「親切」「同伴」そして「客体化」の視点で接していること。2.対象主体と援助主体相互の共感と支持の関わりが課題であること。3.対象主体の「記憶喪失期間」の長期化に伴う、心理的・実践的対応の変化を理解する基本的視点。4.援助者が、対象主体の自己と環境の統合を共感・支持して援助関係をつくる基本的視点。5.援助者が、対象主体の認識・感情・意思を理解し共生する方法(面接援助実施マニュアルの作成)。
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