日本米とスリランカ米の食品栄養学的研究
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概要
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スリランカ米と日本米を同じ精米度(95%)に調製して,栄養成分の含量,組成および物理化学的性質を食品学的に比較検討することを目的として実験を行ない,次の結果をえた。1.スリランカ米は,日本米よりもタンパク質を多く含んでいた。そして主な貯蔵タンパク質であるグルテリンは,スリランカ米で多く見られた。日本米とスリランカ米の構成アミノ酸の組成はほとんど同じであった。2.日本米はスリランカ米よりも,脂質ならびに中性脂質,糖脂質およびリン脂質の各画分を多く含んでいた。中性脂質,糖脂質およびリン脂質画分の薄層クロマトグラフィでは,各画分の脂質クラスのパターンは,スリランカ米と日本米の間でほとんど差が見られなかった。脂肪酸組成を見ると,日本米はスリランカ米よりもやや不飽和であった。3.日本米は,スリランカ米よりも繊維質をやや多く含んでいた。4.スリランカ米は,日本米よりもアミロースをかなり多く含んでいた。ゲル化温度,粘度およびコンシステンシー(濃密度)については,スリランカ米は日本米よりも高く,一方アルカリ消化試験では,スリランカ米は日本米よりも低い値を示した。5.日本米は,スリランカ米よりもカルシウム,リン,チアミン,リボフラビンおよびトコフェロールをやや多く含んでいた。6.全体を通して,スリランカ米と日本米の間の大きな食品栄養学的な相違は,主としてでんぷんの特性に由来するものと推察された。
- 1979-05-18
著者
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藤野 安彦
兵庫女子短期大学食物栄養学科
-
カイラサパティ K.
帯広畜産大学農産化学科食品化学研究室
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伊藤 精亮
Laboratory of Food Chemistry, Department of Agricultural Chemistry, Obihiro University of Agricultur
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藤野 安彦
Laboratory of Food Chemistry, Department of Agricultural Chemistry, Obihiro University of Agricultur
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