目測による牧草量の新しい簡便な推定方法
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概要
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放牧草地における牧草量の正確で精度の高い推定値を得ることは,草地研究にとって基本的な問題であるため,古くから種々の方法が考案されてきた。本報告では先に著者らが示した「コドラート当りの牧草量(乾燥重g)の度数分布はガンマ分布に適合している」という事実を利用して,簡易に牧草量を推定する方法を提案した。1.〔第1の方法〕:(1)放牧草地においてはコドラート当り牧草量の平均値μと度数分布の形を表すパラメータpの間に直線関係が成り立っていることがある。例えば,草地試験場の藤荷田山草地ではp=0.03142μ+0.2661の関係があることが判っている。このようなときには,コドラート当りの牧草量が,(1)c_1g(例えば60g)以下か,(2)c_1g以上かの2分類を目測によって行う。(2)牧場内のn個のランダムな地点にコドラートを置いた結果,目測による判断でc_1g以下に分類されたコドラートがn_1個,c_1g以上に分類されたコドラートがn_2個あったとする(n_1+n_2=n)。この時,次の2式からμとpを解くことができる:[numerical formula], p=0.03142μ+0.2661 2.〔第2の方法〕:(1)あるコドラートに含まれる牧草量が乾燥重で,(1)c_1g(例えば60g)以下か,(2)c_1gとc_2gの間(例えば60gと140gの間)か,(3)c_2g以上かを目測で判断し,そのどれかに分類する。(2)このようにして,牧場内のランダムな地点に数十ないし数百のコドラートを置いて,上記の3つに分類する。その結果c_1g以下のコドラート数がn_1個,c_1〜c_2gのコドラート数がn_2個,c_2g以上のコドラート数がn_3個であったとする。ここにn_1+n_2+n_3=nとおく。この時,次の2式を満たすμとpを推定する。方程式が2個で未知数が2個(μとp)であるから,μとpを解くことができる:[numerical formula],[numerical formula].
- 日本草地学会の論文
- 1991-07-31
著者
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