GSK3遺伝子発現の分子メカニズムに関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アルツハイマー病の主要な病理所見の一つである神経原線維変化の出現頻度は,痴呆の重症度と強く相関している。Glycogen synthase kinase-3β(以下GSK-3β)によるタウのリン酸化は神経原線維変化において観察されるらせん状の繊維状構造物(PHF)形成の原因と考えられている。GSK-3βは特に脳内で多く発現されており,加齢あるいはアルツハイマー病発症に伴って発現量が増加することが報告されている。また,統合失調症患者の前頭野におけるGSK-3βmRNAのレベルが健常者と比べて約40%減少しているとする報告もある。このように脳の高次機能に重要な役割を果たしていると考えられるGSK-3βの活性調節については,リン酸化を介した翻訳後修飾を中心に詳細に研究されている。一方,発現調節に関する研究は少ない。そこでアルツハイマー病や統合失調症とGSK-3βの発現調節との関係を明らかにすることを視野に入れ,GSK-3β遺伝子のプロモーター活性の分子メカニズムに関する研究を行った。転写開始点より上流を欠失させた5'欠失変異体,5'UTR欠失変異体及び5'UTR置換変異体をルシフェラーゼ遺伝子発現ベクター(pGL3)に挿入したプラスミドを用いたレポータージーンアッセイを行った。その結果,GSK-3β遺伝子のbasal levelの基本転写に関わるシスエレメントが転写開始点より上流にあり,5'UTRに細胞特異的な転写活性に関わるシスエレメントが存在することが示唆された。以上の結果より,本研究において,GSK-3β遺伝子の発現調節機序を解明する上で重要な知見が得られたと考えている。
- 麻布大学の論文
著者
-
岩橋 和彦
麻布大学大学院・環境保健学研究科 環境保健科学専攻保健生命系神経生理学分野
-
岩橋 和彦
麻布大学大学院環境保健学研究科
-
村山 洋
麻布大学健康管理環境保健学部分子生物学研究室
-
松田 基夫
麻布大・環境保健・遺伝子生物学
-
松田 基夫
麻布大学大学院環境保健学研究科
-
松田 基夫
麻布大学大学院環境保健学
-
村山 洋
麻布大学大学院環境保健学研究科
-
秋山 孝洋
麻布大学大学院環境保健学研究科分子生物学分野
-
松田 基夫
麻布大 環境保健
-
秋山 孝洋
環境保健学研究科
-
村山 洋
麻布大学生命・環境科学科
関連論文
- アルコール依存症者における脳波検査結果の分析
- セロトニン2A受容体およびトランスポーターの遺伝子多型とオランザピンの臨床効果 : 病院地域精神医学における抗精神病薬併用者の現状
- 微小管結合タンパク質タウの神経細胞死における役割に関する研究(研究科分,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- スモンの発症とCYP2D6及びCYP2C19の遺伝子多型の関連性
- A群レンサ球菌産生発赤毒素B型の発赤活性について
- アルコール依存症者における脳波検査結果の分析 : せん妄を含む意識障害の症状と異常脳波
- イヌを用いた動物介在療法に関する研究 : 広汎性発達障害における試行とその効果(一般講演,第78回麻布獣医学会)
- メタンフェタミン投与ラットにおけるCYP2E1 mRNAの誘導
- CCKおよびCCKAR遺伝子と感情障害との相関
- アルコールによる細胞障害について
- 感情障害およびアルコール依存症におけるセロトニン受容体の遺伝子多型について
- 大うつ病と熱ショックタンパク質70-1遺伝子の関連について
- 精神分裂病とボルナ病ウイルス感染 : 血清タンパク質およびインターロイキンによる解析
- アルコール慢性投与マウスの脳内のアセトアルデヒドアダクトについて
- アルコール依存症におけるセロトニンレセプターの遺伝子型 (HTR2 MspI polymorphism)
- エタノール投与によるbcl-2と bax の脳における発現の変化について
- アルコール慢性投与における脳内のアセトアルデヒドアダクトについて
- アルコール依存症における CYP2E1 の遺伝子型
- アルコール依存および離脱症状の脳の病態におけるモデル動物を用いた免疫組織化学的研究 : 脳内のアセトアルデヒドアダクト
- アルコール依存症におけるCYP2E1の遺伝子型
- エタノールの代謝速度論的研究 : ALDH2およびCYP2E1の遺伝子多型がアルコール代謝に及ぼす影響-PART III
- 日本人てんかん患者のCYP2C19遺伝子多型とフェニトイン薬物動態
- C-28 CYP2C19遺伝子多型とフェニトイン薬物動態
- アルコール代謝酵素の遺伝子多型と血中アルコール濃度
- CYP 2 E 1遺伝子の Dra I 多型とアルコール依存症
- エタノールの代謝速度論的研究 : ALDH2 および CYP2E1 の遺伝子多型がアルコール代謝に及ぼす影響 : PART II
- CAGリピートが増えた母由来の歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症について
- 精神疾患関連遺伝子多型の解析(学振,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 精神疾患関連遺伝子多型の解析(平成14年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- セロトニン受容体遺伝子多型と鎮痛薬感受性 (特集 痛みと遺伝子多型)
- 日本人健常者におけるCatechol-O-methyltransferase(COMT)遺伝子Val158Met多型とNEO-FFIとの関連研究
- ALDH2, CYP2E1とパーソナリティの関連研究
- 研究科分 向精神薬のターゲット部位の遺伝子解析--セロトニントランスポーター遺伝子多型とパーソナリティおよび痛覚との関連研究 (平成19年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 若年者の喫煙行動におけるCYP2A6遺伝子多型およびNEO-FFIにおける人格検査
- 日本人高血圧患者の頸動脈エコーによる内膜中膜複合体壁厚およびプラークと高血圧候補遺伝子多型 : 動脈硬化症患者疾患の早期発見の可能性について
- 日本人における高血圧症とアドレナリンβ3受容体遺伝子多型との関連について
- 日本人における喫煙行動とCYP2A6遺伝子全欠損多型との関連
- OlanzapineのCYP1A2およびCYP2D6による代謝--血中濃度と副作用について
- CYP2D6遺伝子多型の日本人における分布とオーダーメイド医療への応用(第22回麻布環境科学研究会)
- 2D-22 バルプロ酸によるビタミンD_3活性化酵素阻害作用の検討
- 非定型抗精神病薬の効果と脳内レセプター遺伝子に関する神経薬理学的研究(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 統合失調症と精神科医療サービス (統合失調症) -- (統合失調症と社会)
- 統合失調症の病因論--最近の生物学的研究動向より (統合失調症)
- 研究と報告 Olanzapineが体重,糖脂質代謝に与える影響
- 私のカルテから 精神科入院中の統合失調症患者を対象にした乗馬療法の実践例
- 精神作用物質の依存および副作用に関連する遺伝子解析 : OlanzapineのCYP1A2およびCYP2D6による代謝(研究科分,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 統合失調症患者における細胞性免疫機能の変化
- ELISA法による熱ショックタンパク質70の定量に及ぼす界面活性剤の影響
- Nicotine 代謝とCYP 2 A 6の遺伝子多型(2)
- 精神分裂病とボルナ病ウイルス感染 : 第2報 : 急性期タンパク質の動態
- 1P17 Presenilin 1 部分ペプチドの膜環境下における立体構造の解析
- Micrococcus luteusにおける16S-23S rDNA internal spacer region(ISR)のシークエンス解析(第22回麻布環境科学研究会)
- Autoinducer2の産生に必須なluxS遺伝子のCampylobacter属内における偏在性(一般講演12,第27回麻布環境科学研究会講演要旨)
- ウレアーゼ陽性高温性カンピロバクター(UPTC)のウレアーゼ遺伝子オペロンの全体像の解明(一般講演11,第27回麻布環境科学研究会講演要旨)
- Campylobacter属の細胞侵入性病原因子flaCの分子生物学的解析(第26回麻布環境科学研究会)
- β-Proteobacteriaに属すTaylorella属の23S ribosomal RNA(rRNA)遺伝子の遺伝的多型性と23S rRNAの断片化(第26回麻布環境科学研究会)
- ウレアーゼ陽性高温性Campylobacter(UPTC)の重複する2つのflagellin遺伝子の構造解析と性状(第25回麻布環境科学研究会)
- B7 高温性Campylobacter lariの病原遺伝子の比較分子生物学(講演,第24回麻布環境科学研究会)
- B6 高温性Campylobacter lariの16S rDNAのクローニングとシークエンシングそしてその配列情報に基づく分子分類学的解析(講演,第24回麻布環境科学研究会)
- B-3 ウマ伝染性子宮炎起因菌Taylorella equigenitalisの分子生物学的研究 : 16S rDNA及び16S-23S rDNA internal spacer region(ISR)の構造解析と種間株間の分子識別への応用の可能性(講演,第23回麻布環境科学研究会)
- B-2 Urease-positive thermophilic Campylobacter(UPTC)のべん毛の性状(講演,第23回麻布環境科学研究会)
- B-1 ウレアーゼを産生しないCampylobacter lariのflagellinの遺伝子およびタンパク質レベルでの解析(講演,第23回麻布環境科学研究会)
- 北アイルランドで分離された高温性Campylobacter,特にウレアーゼ陽性高温性Campylobacter(UPTC)のフラジェリンの解析(第22回麻布環境科学研究会)
- てんかん性変異動物における脳内一酸化窒素合成酵素活性について
- B-22 Phenytoinによる小脳失調の発生機序に関する酵素化学的考察
- 座談会/科学的視点から「心」を測る--最近の国際的動向も含めて (科学的視点から「心」を測る--最近の国際的動向も含めて)
- GSK3遺伝子発現の分子メカニズムに関する研究
- 非定型抗精神薬の効果と副作用に関する神経薬理学的研究
- 精神活性物質依存関連の精神神経薬理的研究
- 神経細胞変性における微小管結合蛋白質タウのリン酸化および代謝に関する研究(平成14年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- GSK-3βの発現調節領域に関する遺伝子解析(第22回麻布環境科学研究会)
- 転写因子EGR1遺伝子のヒトと多種生物間の比較(第22回麻布環境科学研究会)
- アポリポ蛋白EとABOの遺伝子多型解析(第22回麻布環境科学研究会)
- てんかん性ミュータント動物における神経型の一酸化窒素合成酵素(NOS)活性
- Campylobacter lari,特にウレアーゼ陽性高温性カンピロバクターのゲノムDNA上の多遺伝子配列情報に基づく分子識別;フラジェリンの偽遺伝子の発見(共同研究,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 新しい細菌,ウレアーゼ陽性高温性カンピロバクターのゲノムDNA上の多遺伝子配列情報に基づく分子識別 ; recA遺伝子の解析(平成14年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- ショウジョウバエ卵巣形態形成機構の分子レベルにおける解明(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- カンピロバクターのDNA分子識別 : Campylobacter lariの細胞膨張化致死毒素遺伝子オペロンのクローニングと構造解析(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 高温性カンピロバクターラリーのゲノム解析と多遺伝子配列情報に基づく分子識別 : ウレアーゼ陽性高温性カンピロバクターのウレアーゼ遺伝子の分離株間における遺伝的な不均一性に関する研究
- GSK-3β発現調節に関わる神経細胞特異的なシス因子の検索(第26回麻布環境科学研究会)
- 全国の飼育犬における寄生虫感染調査と検査法の検討
- 高温性カンピロバクターのゲノム解析と多遺伝子配列情報に基づく分子識別 : Campylobacter lariの16S rDNA
- B5 ウレアーゼ陽性高温性カンピロバクター(UPTC)におけるウレアーゼオペロン全体像の解明と組換え体ウレアーゼの発現(講演,第24回麻布環境科学研究会)
- 依存症が併存した双極性障害--気分安定薬でギャンブル依存,買い物依存が改善された2例
- 「酵素活性」から心を診る (科学的視点から「心」を測る--最近の国際的動向も含めて) -- (「心」をさまざまな方法で診る)
- 「遺伝子」から心を観る (科学的視点から「心」を測る--最近の国際的動向も含めて) -- (「心」をさまざまな方法で診る)
- 精神作用物質の依存性形成と副作用発現に関する調査研究(平成14年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- うつ病の生物学的メカニズム (現代社会のうつ病) -- (現代社会のうつ病の特徴とその対策)
- マウス脳型リアノジンレセプター(RyR3)mRNAの選択的スプライシングの同定
- 毎日10分間の廊下歩行およびラジオ体操による肥満, 便秘予防 : アンケート調査からの考察
- アルコール依存症と ALDH2, ADH2, ADH3, P-4502E1 との関連について
- B2 タウの構造変化の指標となる特異的抗体の性質(講演,第24回麻布環境科学研究会)
- GSK-3β-50T/CおよびDBI+529A/T遺伝子多型とアルコール依存症との関連
- アニマルセラピーで脳賦活効果が得られた気分[感情]障害の2症例におけるfNIRSを用いた光脳機能イメージング評価
- 人工透析導入後の慢性腎不全患者における脳波基礎律動と血液生化学データとの関連性について
- オランザピンの副作用による体重増加・血糖上昇と倹約遺伝子やセロトニン系遺伝子との関連 : 統合失調症16例による予備的検討
- 高血圧症におけるパーソナリティおよび一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子多型の研究
- Glycogen synthase kinase-3 β(GSK3B)-50T/C・-1727A/T 遺伝子多型とアルコール依存症患者との相関研究
- 双極性障害のリチウム感受性に対するGSK-3β遺伝子多型の影響