P300による虚偽検出は長期間経過後でも可能か?
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概要
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P300による虚偽検出の先行研究は,模擬犯罪と有罪知識検査(GKT)の期間が比較的短い。しかしながら,実務検査の約50%は,犯罪が行われてから少なくとも1ヶ月後に実施されている。したがって,本研究では,模擬犯罪から比較的長期間経過後における,P300によるGKTの検出可能性について被験者間デザインで検討した。参加者は直後群(10名),1ヶ月後群(10名),1年後群(10名)の3群に分けられた。すべての群は模擬犯罪とGKTの期間以外は全く同じ手続きである。呈示した視覚刺激は,5つの貴金属(イヤリング,ブローチ,指輪,ネックレス,時計)の写真であり,呈示持続時間300ms,刺激間間隔2500msでコンピュータの画面に呈示した。参加者には,各写真が画面に呈示されたら,できるだけ速くボタン押しをするように教示した。同時に,参加者は模擬犯罪で盗んだ品物を隠すように求められた。測定した指標は,刺激に対するP300(Fz,Cz,Pz)と反応時間である。結果として,裁決項目に対するP300振幅は,1年後群を除き,非裁決項目よりも有意に大きくなった。P300によるGKTは,模擬犯罪後,1ヶ月後でも有効であった。この結果は,P300を指標とした虚偽検出が,犯罪現場にも応用可能であることを示唆している。
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