軽度知的障害児の文記憶に及ぼす項目特定処理の効果
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概要
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文記憶の理論的な研究では,記銘リストの関係情報が強調されるほど,被験者が実行する項目特定処理の効果が高まることが知られている。そこで本研究においては,軽度知的障害児においても,健常な成人の場合と同様な項目特定処理の効果が生起するのか否かについて検証することにした。そこで,記銘文にテーマ画を添える,サブテーマのテーマサイズを操作する等の工夫を加えて,リストの関係情報を可能な限り強調することにした。さらに,被験者を関係処理群と項目特定処理群の2群に分けて,偶発再生の実験を行った。その結果,方向づけ課題でリストの関係処理を行った群では,いずれのテーマサイズ条件でもサブテーマの要約再生率が全般的に低かったのに対して,方向づけ課題で項目特定処理を行った群では,大きなテーマサイズの条件で要約再生率が高まることが確かめられた。これらの結果から,軽度知的障害児の場合にも,リストによって促進された関係情報の符号化と,処理によって促進された項目特定情報の符号化との相補作用効果が生起し,項目特定処理の有効な効果が得られると結論された。
- 日本教育心理学会の論文
- 2007-06-30
著者
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