19世紀ハンガリーにおけるジプシー楽団受容 : 逐次刊行物に見るハンガリーのロマ音楽(家)
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概要
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本研究は、19世紀ハンガリー音楽を代表する存在となったジプシー楽団が、ハンガリー固有の音楽表現を探し求める人びとの要求に応じるようにハンガリーの音楽生活の中に取り込まれていった様子を理解するため、合計34の逐次刊行物を通してジプシー楽団の主たる受容層である19世紀の都市在住者による評価や意識をさぐろうとした調査に基づく。この調査の中から、ここでは全般的な時代背景、調査対象とした逐次刊行物とその主な特徴、書き手、およびその中に表れたジプシー楽団とその音楽家についての代表的な記事を採り上げた。その結果、未成熟であった都市文化、市民の娯楽を急いで形づくる必要に迫られながら、同時に"ハンガリーらしさ"、"国民的な表現"が求められるという二重の原動力が働いていた時期に、その混沌とした流れの中に放り込まれ、周囲の揺れ動く評価に翻弄されたジプシー楽団の様子が浮かび上がった。
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