Angle I級叢生患者の矯正治療後における咀嚼能力の評価について
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概要
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矯正治療終了後,安定した咀嚼機能を維持することは重要であるが,保定期間中における咀嚼能力の変化を経時的に観察した報告は少ない.また,現在用いられている咀嚼能力検査は操作の繁雑性により,臨床的に活用されることも少ない.本研究では簡便な測定法である色変わりチューインガムを用いた咀嚼能力測定により,動的矯正処置終了後の咀嚼機能の安定性を評価し,臨床的有用性を検討した.大阪歯科大学附属病院歯科矯正科を受診した,Angle I級叢生の動的処置を終了した成人患者6名を被験者として,矯正装置撤去直後,保定装着1か月後,3か月後および6か月後に,色変わりチューインガムを用いて咀嚼能力を測定した.矯正装置撤去直後を対照として比較したところ,咀嚼能力値は仮定1か月後から増加し,仮定3か月後までこの傾向がみられた.ところが,6か月後では咀嚼能力値の増加は認められなかった.また歯の動揺度は,矯正装置撤去後3か月で正常になったことから,咀嚼能力値の増加傾向は歯周組織の修復を裏付けるものと考えられる.以上の結果から,色変わりチューインガムを用いた咀嚼能力測定法は簡便でチェアサイドでも容易に操作することができ,咀嚼能力の変化を正確に検知できる矯正治療後の咀嚼能力検査法として有用であることが示唆された.
- 2007-03-25
著者
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神原 敏之
大阪歯科大学歯科矯正学講座
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永田 雄己
大阪歯大・大学院・歯科矯正
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神原 敏之
大阪歯科大学歯科矯正学
-
永田 雄己
大阪歯科大学歯科矯正学講座
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長屋 和也
大阪歯科大学歯科矯正学講座
-
長屋 和也
大阪歯科大学歯科矯正学
-
長屋 和也
大阪歯大・大学院・歯科矯正学
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李 宣杰
大阪歯科大学歯科矯正学
-
鄭 文明
大阪歯科大学歯科矯正学
-
伊東 正記
大阪歯科大学歯科矯正学
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