複素音声分析を用いたWienerフィルタに基づく音声強調に関する一検討(ブロードバンド無線アクセス技術,無線信号処理,無線通信,一般)

概要

論文の詳細を見る
近年、携帯電話による音声通話やカーナビなどによる音声認識の普及に伴い、音声から周囲雑音を除去する技術である音声強調の必要性が増加している。音声強調方式として、スペクトルサブトラクション(SS)法、Wienerフィルタによる方法、MMSE-STSA法、MAP推定による方法などが提案されている。本稿では、複素LPC音声分析を用いたWienerフィルタ方式による音声強調方式を提案する。Wienerフィルタによる音声強調方式は1970年代後半にJ.S.Limらにより提案された方式であり、平均2乗(MSE)規範を最小化するように最適フィルタを設計し、周波数領域でのフィルタリングにより雑音除去を実現する方式である。Wienerフィルタの設計にクリーンな音声のパワースペクトルが必要になるため、LPC分析による雑音重畳音声に対する推定パワースペクトルを用いたWienerフィルタリングにより雑音除去し、雑音除去された音声を用いてLPC分析を行い、パワースペクトルを推定し直し、Wienerフィルタリングを繰り返す、反復手法が用いられている。本稿では、LPC分析の代わりに解析信号に対する複素LPC分析を導入した改良方式の提案を行う。
2007-01-18