精神科看護における看護師の「巻き込まれ」体験の構成要素とその関連要因
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概要
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背景 看護における「巻き込まれ(involvement)」は、否定的側面と肯定的側面から評価されている。特に我が国の精神科看護においては、「巻き込まれ」が問題として扱われることが多い。1980年代以降、「巻き込まれ」に関してはいくつかの研究が行われているが、精神科看護における「巻き込まれ」の体験に関する質的な研究は行われていない。目的「巻き込まれ」を恐れることなくより有効に自己を利用して患者-看護師関係を深めながら看護する情報を得るため、本研究では、精神科の看護師が患者とかかわる中でどのように「巻き込まれ」を体験しているのか質的に探り明らかにすることを目的とする。方法 関西の公立精神病院に勤務する看護経験年数が5年以上の看護師に面接を行い、得られた逐語録をデータとし、質的帰納的に分析した。結果 関西の公立精神病院に勤務する看護経験年数が5年以上の看護師が体験した「巻き込まれ」には、「看護師の経験不足」と「患者の言動による動揺」による『意図せぬ巻き込まれ』と『主体的巻き込まれ』が含まれていた。『意図せぬ巻き込まれ』から『主体的巻き込まれ』への移行要因は、<看護師の成長>と<チームからのバックアップ>であった。結論『意図せぬ巻き込まれ』は「巻き込まれ」の否定的側面を、『主体的巻き込まれ』は肯定的側面を反映していると考えられるが、『意図せぬ巻き込まれ』の振り返りはその看護師にとって『主体的巻き込まれ』への移行において貴重なデータとなると考えられる。看護にとって重要な「巻き込まれ」を看護師が自分のものにしていくためには、問題としての「巻き込まれ」とともに看護にとって重要な「巻き込まれ」の理解も深め、成長に必要な「巻き込まれ」の否定的な体験を排除するのではなく、「巻き込まれた」体験を共有し、患者にとってその結果がどうであったのかを振り返ることが重要である。
- 滋賀県立大学の論文
- 2005-03-31
著者
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