中国低所得農民層の眼疾患実態調査;遼寧省内一農村部における一次検診から

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国際協力機構(JICA)助成事業として2004年度より新規プロジェクト「中国低所得農民層の失明実態調査とその対策のための人材育成」が開始された。本稿はその初回調査の概要である。調査対象は中国東北部灯塔市の一村落"上柳村"に在住する50歳以上の全住民543名中の274名である。調査内容は問診,眼科検査で,検査項目は屈折検査,眼圧測定,非散瞳・散瞳下の前眼部細隙灯顕微鏡検査,所見撮影,眼底検査を含めた10項目である。白内障の評価はWHO新診断基準に従った。片眼のみまたは両眼の裸眼視力が0.05以下の者は12.4%にみられたが内,白内障手術により視機能回復が期待できる者は29.4%眼鏡装用により0.05以上の視力が得られる者は55.8%あった。片眼ないし両眼が失明,Low visionまたはそれ以上の視機能改善が期待できない者の主たる原因疾患は強度近視,閉塞隅角緑内障,開放隅角緑内障であったが,糖尿病網膜症,網膜中心静脈分枝閉塞症もあった。矯正視力眼をもって失明に該当した症例受診者は,全受診者中の3.8%Low visionが2.9%であった。年代・性別の透明水晶体保有率は50歳代,60歳代,70歳以上の男性で77.1%,78.6%,70.6%,女性で86.2%,82.9%,64.3%であった。混濁病型は年齢を問わず皮質混濁が男女群とも多く,核混濁,混合型がこれに次いだ。現中国では失明原因として白内障が防止対象の最前列にあるが,屈折異常者の眼鏡矯正の認識,緑内障由来の失明も白内障に並ぶ重要な失明対策課題であることを強調したい。
金沢医科大学の論文

中国低所得農民層の眼疾患実態調査;遼寧省内一農村部における一次検診から

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