多変量解析法を用いた千葉県の医療特性による類型化と死亡率に関する研究

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千葉県の20の医師会地区を医療特性により類型化し,このグループの死亡率を観察し,以下の結果を得た。1.開設科目充実度指数,主要医療機器充実度指数など医療特性を含む17指標を用い,相関行列による主成分分析によって類型化を試みた。固有値が1以上であったのは第4主成分までであり,第1主成分は医療需要に関するもの,第2主成分は病院医療供給に関するもの,第3主成分は医療設備に関するもの,第4主成分は診療所医療供給に関するものであった。また,第4主成分までの累積寄与率は86.3%と高く,第1主成分を医療需要,第2から第4主成分を包括的医療供給とし,医療需給の面より6グループに分類した。2.類型化グループでは主要死因別死亡のうち全死亡、全病死,外因死,胃癌,脳血管疾患,「医療の質が関与する疾患」の標準化死亡比は,医療需要の高低にかかわらず医療供給が高いグループが低値であった。死亡をはじめとする保健状況が,社会経済状況の影響を受けることは明らかである。医療需給状況と社会経済状態との関連を検討したところ,需要を示す指標と社会経済指標とは高い相関がみられた。しかし医療の質と量を示す指標は必ずしも社会経済指標と関連は見られなかった。従って,これらの疾患による死亡を減少させるには,社会経済状態のみならず,医療の供給状況の改善も必要であることが明らかとなった。3.高血圧性疾患,虚血性心疾患,悪性新生物の標準化死亡比は医療需給状況と関連は見られず,肺癌では逆に医療供給が高いグループが高値であった。すなわち,これらの疾患による死亡では医療供給の改善のみでは解決出来ない因子が作用していることが示唆された。
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