情報システム構築による競争環境の創発プロセス : パナソニック・オーダー・システムとオークネック・システムに関する事例研究
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概要
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本稿の目的は,松下電器のパナソニック・オーダー・システム(POS),ならびに,オークネットのテレビ・オークション・システムの2つの情報システムの詳細な事例研究を試みることにより,企業が情報システムの活用を通じて競争優位を獲得・維持する一連のプロセスの特徴を析出することである。 事例分析の結果,以下の4つの仮説的命題が導出された。(1)競争優位は,明確な競争戦略にもとづき,独自の情報技術と既存の情報技術の双方を効果的に活用することにより獲得・維持である。(2)競争優位は,単独の戦略スラストよりは複数の戦略スラストの効果的な組合せによって獲得・維持される。(3)情報システムを導入し,競争優位を獲得・維持するためには,情報システム以上に,経営管理システムがより重要である。(4)情報システムの構築によって競争優位を獲得・維持しようとするプロセスは,競争環境の創発プロセスである。 これらの分析の結果は,競争優位を獲得・維持するための情報システムは,必ずしも高度な情報技術を基盤とする必要はなく,むしろ情報システムと競争戦略および経営管理システムとの適合性こそが,より重要であることを示唆している。情報システムは,競争戦略や経営管理システムとの適合性が獲得されてはじめて,企業の業績を高めるのである。
- 北海道大学の論文
- 2007-03-08
著者
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