ヒト神経芽細胞腫GOTO細胞におけるRho-Rhoキナーゼ-リン酸化シグナル伝達を介した神経分化と神経分化中における単一GOTO細胞の連続的観察(薬理学)
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概要
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神経成長因子,レチノイン酸,ジブチリルcAMP,ガングリオシドG_<Q1b>,およびボツリヌスC3酵素のヒト神経芽細胞腫GOTO細胞における神経分化能を比較評価した.C3酵素はADPリボース転移酵素で,低分子量GTP結合タンパク質であるRhoタンパク質を不活性化する.C3酵素は検定した薬剤のなかでもっとも速やかにGOTO細胞を神経細胞に分化させ,またもっとも強く神経細胞を連結させ,ネットワークを誘導した.Rhoキナーゼの阻害剤であるファスジルは,GOTO細胞からの神経突起の伸張を誘導した.ミオシンフォスファターゼの阻害剤であるカリクリンAは,C3酵素の示す神経突起伸張誘導作用を抑制した.これらの知見はC3酵素処理後の神経分化過程において,GOTO細胞においてもRhoタンパク質-Rhoキナーゼ-ミオシン軽鎖のリン酸化というシグナル伝達があることを示唆する.C3酵素が非常に強い神経分化能を持っていることから,Rhoタンパク質-Rhoキナーゼ-リン酸化というシグナル伝達がGOTO細胞の神経分化過程における主流であると推測される.C3酵素処理後のGOTO細胞について,単一でかつ同一の細胞を連続的に観察した.C3酵素処理後15分で細胞は形態を変化させ始め,40分後では完全に球状となった.処理後4時間で神経突起が出現し,その後徐々に突起が伸張した.これらの観察結果は神経分化特にその初期におこる形態変化に関して基礎的な情報を提供している.
- 2007-01-25
著者
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鎌田 洋一
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医学専攻
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鎌田 洋一
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医学専攻獣医公衆衛生学研究室
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鎌田 洋一
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医学専攻獣医公衆衛生学教室
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服部 恭代
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医学専攻獣医公衆衛生学教室
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