駿河湾産のクマ類(甲殻類)の2新種Platysympus ovalis sp. nov.とP. quadrangulatus sp. nov.について
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概要
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Platysympus属(Lampropidae科)のクマ類は今日までに9種類が知られている。日本からは,P. japonicus GAMO,1975(下田沖の480m深)とP. muranoi GAMO,1980(野島岬沖の260-335m深)が知られている。今回新たに,東京大学海洋研究所の淡青丸によって,1983年秋に行われた研究航海KT-83-18で駿河湾の水深197-375mの所より採集された標本中にPlatysynpus属のものと思われるものがあった。研究の結果,これらは次に示す2新種として記載されるべきものであった。P. ovslis sp. nov.の標本は,体長5.7mmを有する雌の完模式標本と,体長6.1mmの雌の副模式標本よりなる。本新種は前述の日本産の2種,P. japonicusとP. muranoiとに近縁のものと考えられるが,本新種の尾節が尾肢基節の長さの1/2よりも明らかに長いことにより区別される。P. quadrangulatus sp. nov.は,体長5.2mmの雌の完模式標本と,体長4.2mmの雄の副模式標本により記載される。本新種は北大西洋より知られているP. typicus(SARS, 1870),水深226-1227m産とP. tricarintus HANSEN,1920,水深219-957m産とに酷似しているが,本種の尾肢基節内側縁に4棘を有する(両既知種には棘を欠く)ことで明らかに区別される。
- 横浜国立大学の論文
- 1987-10-31
著者
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蒲生 重男
Department of Biological Sciences, Graduate School of Science, The University of Tokyo
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蒲生 重男
Department Of Biology Faculty Of Education Yokohama National University
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