2001年から2004年に主に東京大学臨海丸によって採集された三浦半島周辺の潮下帯および漸深海苛性有殻腹足類
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概要
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東京大学三崎臨海実験所の調査船「臨海丸」を利用したドレッジ,および漁船の刺網によって三浦半島周辺の水深12〜725mから採集された腹足類の分類学的検討を行った結果,貝殻遺骸のみが得られたものも含め400種類を超える有殻腹足類が確認され,390種類が少なくとも属まで同定された.そのうち,種まで同定できなかった種類は66種類(17%)に上り,その多くは未記載種と考えられる.また,未詳種を含め,78種類(20%)が相模湾から新記録となる.さらに,従来の報告と比較すると,同様の海域で,主にドレッジによる採集物を取り纏めたKuroda et al.(1971)に記録されていない種類は62種類(16%)であった.その大部分が5mm未満の微小種であり,本調査ではこれら微小な種類に重点を置いたことによる.また,相模灘の西の対岸にあたる下田沖において,同様のドレッジ調査を行ったHasegawa et al.(2001)は本調査の結果に近いおよそ470種類の有殻腹足類を報告しているが,それとの共通種は152種(本報告の出現種の38%)に過ぎず,両海域の相違が明らかとなった.これは,両調査海域の底質の違い,すなわちが三浦半島周辺が主に岩礁もしくは岩礫底であるのに対して,下田沖の調査海域は主に砂底であったことに加え,下田がより暖流系の要素で占められることによる.
- 国立科学博物館の論文
- 2006-03-27
著者
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