8.森林の水土保全機能の定量化に関する研究 : 第2報 1983年水文資料による流出解析
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概要
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鹿児島市を流れる甲突川上流水源地に設定されている森林理水試験流域において, 1983年に得られた水文資料を用いその流出特性を明らかにした。以下得られた結果をまとめると次のようである。1)試験流域における1983年の観測結果によると, 年降雨量3128.5(?), 年流出量セ317.4(?), 年流出率74.1(%), 年消失量811.1(?)であった。2)試験流域における降雨一流出の関係について解析した。その結果, 総雨量とその降雨により生じた直接流出量および直接流出率の間には高度の相関が認められた。(Fig8およびFig9)。これらの関係は, 流域の土湿状態の指標となる初期流量(増水開始時の流量)に依存している。したがって, 降雨量が同程度である場合, 初期流量が大きいほど直接流出量および直接流出率は増加する。しかしながら, 大きい初期流量のもとでは, 初期流量が直接流出量および直接流出率に及ぼす影響は小さくなる。3)直接流出量と直接流出継続時間の間には高度の相関が認められる(Fig.10)。この関係において直接流出をもたらした降雨の総雨量をパラメーターにとると, 総雨量が増加するに従って直接流出量および直接流出継続時間は増加する。また, この関係は最大60分間雨量にも依存している。4)ハイドログラフの増水部の形とその増水をもたらした降雨特性の関係が解析された(Fig.12〜14)。その結果, 増水の規模は主に降雨量に影響され, 増水の速さは主に降雨強度に影響される。降雨量, 降雨強度, 降雨継続時間等の降雨特性が同程度であれば, 増水の規模や速さは降雨開始時の流域の土湿状態に依存する。5)ハイドログラフの減水曲線を流量を対数目盛とした片対数紙上に描くと, その減水曲線は次第に傾斜を緩くしていく数本の直線に近似される。各直線の減水定数と水文因子の関係を相関係数表にまとめるとTable6が得られる。6)地下水減水定数は0.004(1/hr)〜0.027(1/hr)の範囲にあり, 平均0.016(1/hr)である。地下水減水定数には季節的な変化がみられ, 夏期0.O18(1/hr)および冬期0.015(1/hr)であった。この季節的な変化は, 蒸発散の季節的な変化と降雨特性の季節的な変化に原因していると考えられる。直接流出終了後, 長期間無降雨が続くと, 地下水減水定数はさらに小さい値へ変化していくことが認められた。
- 鹿児島大学の論文
- 1985-03-25
著者
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