2.森林の水土保全機能の定量化に関する研究 : 第1報 試験流域の環境調査
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概要
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森林の水土保全機能を解明し, 定量的に把握することを目的として, 鹿児島市を流れる甲突川上流水源地に森林理水試験区が設定された。今回は, 試験流域の地形, 地質, 土壌および植生調査結果について報告した。以下得られた結果をまとめると次のようである。1)試験流域の平面形状はひずんだ扇形をなし, 長軸方向約1000m, 最大幅約540m, 面積27.41haである(Fig.2)。流域の地形計測結果がFig2〜4およびTable3に示される。2)流域の地質は, 新第三紀ないし第四紀更新世と考えられる玄武岩質安山岩, 凝灰質堆積岩類および安山岩より構成される(Fig.5)。3)斜面形と堆積様式により, 流域を尾根筋緩斜面, 緩斜面, 渓間堆積面, 崩積土面, 葡行主面および急峻旬行土面に区分し, 微地形分類図を作成した(Fig.6)。4)土壌孔隙は粗大孔隙, 粗孔隙および細孔隙に分類され, 森林土壌の貯水容量を評価するために, 微地形区分ごとの孔隙率および孔隙量の測定が行われた(Table6〜11)。5)孔隙率は, 一般に下層位ほど小さくなる。平均粗大孔隙率および粗孔隙率を微地形区分ごとに比較すると, 葡行土面, 渓間堆積面, 崩積土面および尾根筋緩斜面で大きく, 急峻同行土面および緩斜面で小さい傾向がみられる(Fig.9)。6)土壌の指標硬度と粗大および粗孔隙率の関係をFig.10およびFig.11に示す。これらの図により, 指標硬度から孔隙率を推定することは困難である。7)平均粗大孔隙量および粗孔隙量を微地形区分ごとにまとめるとTabIe12が得られる。8)森林土壌の有効貯留量の推定値を微地形区分ごとにTable13に示す。有効貯留量は, 尾根筋緩斜面, 渓間堆積面, 崩積土面, 電1行土面, 緩斜面, 急峻葡行出面の順に小さくなる傾向にある。9)流域の森林の現況をFig.12に示す。流域面積のうち95.5%を森林が占め, その人工林率は非常に高く, 86.1%である。
- 鹿児島大学の論文
- 1984-03-25
著者
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