ラット疲労困憊運動後のTNF-α産生能におよぼす高炭水化物食摂取の影響
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概要
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運動後の免疫低下については、運動直前あるいは運動中の急性的な炭水化物摂取により、軽減される可能性を示す研究がいくつか報告されている。そこで本研究では、習慣的な高炭水化物食摂取が疲労困憊運動後の免疫応答にどのような影響を与えるかについて明らかにするため、Lipopolysaccharide (LPS)に対する血漿tumor necrosis factor (TNF)-α濃度の変化から検討を行った。Fischer344系雌ラット(7週齢、n=16)は、高炭水化物食(CHO)+運動(Ex)群、CHO+安静(R)群、標準食(NOR)+Ex群、NOR+R群に分け、一週間の食餌介入を行った。実験前夜は絶食とし、実験当日CHO+Ex群とNOR+Ex群にはトレッドミル走を速度漸増法にて疲労困憊に達するまで負荷し、CHO+R群とNOR+R群は安静を保持し、負荷終了後あるいは安静時麻酔下にて腸骨静脈よりLPS(1mg/kg体重)を投与した。採血は負荷終了直後とLPS投与1時間後に行った。測定項目は、血漿コルチコステロン、TNF-α、およびグルコース濃度であった。疲労困憊に達するまでの運動時間は、食質の違いはみられなかった。標準食摂取において、LPS投与1時間後のTNF-α濃度は疲労困憊運動により低下し、コルチコステロン濃度は上昇した。高炭水化物食摂取において、TNF-αとコルチコステロン濃度は、標準食摂取と同様の変化を示した。安静時グルコース濃度は、高炭水化物食摂取により上昇した。しかし運動後のグルコース濃度は標準食・高炭水化物食摂取ともに低下し、食質の違いはみられなかった。以上のことから、一週間の高炭水化物食摂取は、運動前のグルコースレベルを上昇させるが、疲労困憊運動によって引き起こされるLPSに対するTNF-α産生の低下には影響しない可能性が示唆された。
- 2005-03-31
著者
-
矢野 博己
川崎医療福祉大学
-
矢野 博己
川崎医療福祉大学 健康体育
-
矢野 博己
川崎医療福祉大学医療技術学部
-
松嵜 裕美
和洋女子大学
-
北村 裕美
家政学部健康栄養学科
-
湊 久美子
家政学部健康栄養学科
-
北村 裕美
和洋女子大学運動生理学研究室
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